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まだ、Aは泣きやまなかった。
「Aは自分に自信ないみたいだけど……そりゃいるよ？芸能界にはAより綺麗な人とか可愛い人。俺はそれでもAがよかったんだよ」
「なんで」
まだ、Aは泣きやまなかった。その上、涙声でそう言った。なんだか俺が責められているようだった。
相変わらず、彼女には自信がないらしい。呆れるほどにだ。俺もつい声のボリュームが上がった。
「なんでって、そんなの……Aが身分証落としたからじゃんか。それで渡したら、そっちがめちゃくちゃ綺麗にお礼言うからじゃん」
あの日、彼女が目前で身分証を落としたとき、ラッキーだと思ったのは確かだった。Aのことは、度々同じコンビニで見かけていた。正直、始まりは見かけだった。綺麗な女性だと思っていた。
だが、いざ身分証を拾って渡したときの彼女は笑顔は想像以上のものだった。気付いたら名前を尋ねていたほどにだ。
「勿論、顔だけじゃないけど……話すうちに俺のファンだったって言うし、俺の一語一句に笑ってくれるし。俺の歌、初めて聴いたときも……馬鹿にしないで、ネタとして笑ってくれたし」
「拓実君」
Aは泣きやまないまま、ようやくひどく優しい声で俺を呼んだ。
俺は喋るのをやめたが、弱々しく息が漏れた。別れたあの日から、俺はちっとも変われていなかった。
「泣かないでよ」
「ごめん」
ぼろぼろと涙が溢れていく。視界はぼやけていたが、Aとやっと目が合ったことはわかった。
泣いてしまったら話にならないと、そうわかっていたのに。もう苛立ちも何もなかった。ただ、大好きなあなたにそばにいてほしいと願った。
「あー……拓実君は、変だなぁ」
そう言って、Aは笑うように息を吐いた。
「え……笑った？今」
「いや、あの……馬鹿にしたわけじゃ」
「いいよ、むしろ笑ってよ」
「ごめん、笑った」Aは、今度は鼻を啜り笑った。涙を拭ってみると、頬に跡が残っているのが見えた。二人とも、きっとひどい顔をしている。
それからしばらく、残った涙をどうにかしようと互いに試みていた。タイミングを見計らって、俺はそっと切り出した。
「俺は、ちゃんと好きだから。見た目も中身も。……だから、自信持ってよ」
「じゃあ、私……かっこいい拓実君の恋人として自信持っていいかなぁ」
Aは泣きそうな笑みを浮かべていた。俺もできるだけ笑った。あなたには到底劣るけれど。
「うん、もちろん」
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キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 感想ありがとうございます！御期待に添えられたなら何よりで御座います……。今後とも、御時間があるときにでも宜しくお願いします！ (2021年4月21日 23時) (
レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - みれました！とっても面白かったですすっごくいいお話でした〜！ありがとうございます！これからも応援してます (2021年4月21日 17時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 遅くなってすみません、続編にてリクエストを公開させていただきました。anotherと書かれているお話までがセットですので、是非合わせて御覧下さい！また、不備が御座いましたらお申し付け下さい……！リクエストありがとうございました。 (2021年4月18日 21時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - 練習帳2！楽しみにしてます^_^ (2021年4月7日 19時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけて幸いです。リクエストもありがとうございます！そちらは続編の「練習帳2」にて近日公開致します。少々お待ちいただけると有難いです…！ (2021年4月6日 13時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年1月8日 18時
