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が、もしも店員さんがバシのファンだったとしたら悪いことをした気もする。私達の関係を誤解されていないといいのだが。
これも、私がバシと友達でいようとする一つの理由だ。顔ファンも"ファン"ではあるが、きっとネタのファンより、少しのことで離れていく可能性は高いだろう思っている。バシが顔ファンのことをどう思っていようが、私のせいでバシのそれを減らすわけにはいかない。
だが、鍋を待つ間ずっと無言でいるのも不自然だからと、他のお客さんに障らないくらい喋ることにした。
昨年末のDo8で"四輪頭身"のネタとして跳ねさせたポップコーンが久しく後藤のアウディから発見されたことを聞いて、この間サッカー少年がサッカーボールにサインを求めてきたことを喋って、お姉さんに用があってLINEを送ったら三日未読スルーされたことを聞いて、母から送られてきた年賀状からやたら実家の煮物が匂ったことを喋って。
めまぐるしくどうでもいい話が続く。やはりこの、下らない時間が面白い。私が下らない話をするほど、バシは「何それ」と笑う。その風景を、末長く友達として見ていたいのだ。
そうやって甘えている間に、鍋が来た。蓋が開けられて、もくもくと湯気が立ち上る。
「それではごゆっくりお召し上がり下さい」
「ありがとうございます」
二人で会釈をして見送った店員さんが、裏で「キャッ」と黄色い歓声を上げたのが聞こえた。湯気越しにバシに目配せして、小声で話しかける。
「やっぱりバレてるね」
「バレてるの下野じゃない？」
「なんで私に黄色い歓声？」
「絶対バシだって」と念押しして、私はお玉を手に取った。「そっか」と流して、バシも鍋に手をつけた。私の心配は悟っていないようだった。
それにしても、一人一つ小さな鍋が並んでいるのは新鮮な光景だ。なんだか可愛らしい。一人鍋が普及するわけだ。
しばらく黙々と食事に集中して、互いにある程度美味しさを把握すると、ようやく二人で「美味しいね」と言い合う。これが私達の食事の流れになっていた。安心するやり取りだ。
そうやってまた、下らない話をしながら、一時間足らずで完食する。二人とももとから食事が素早い。今日は互いに気分じゃなかったのか、飲酒もしなかった。それでも充分に楽しくて、微笑ましい時間なのだ。
「私のいくら？」
「えっとね……」
席でそれぞれ自分の代金を出して、バシがまとめてレジで払う。これもよくある流れだ。
「じゃあ行くか」
「うん」
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キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 感想ありがとうございます！御期待に添えられたなら何よりで御座います……。今後とも、御時間があるときにでも宜しくお願いします！ (2021年4月21日 23時) (
レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - みれました！とっても面白かったですすっごくいいお話でした〜！ありがとうございます！これからも応援してます (2021年4月21日 17時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 遅くなってすみません、続編にてリクエストを公開させていただきました。anotherと書かれているお話までがセットですので、是非合わせて御覧下さい！また、不備が御座いましたらお申し付け下さい……！リクエストありがとうございました。 (2021年4月18日 21時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - 練習帳2！楽しみにしてます^_^ (2021年4月7日 19時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけて幸いです。リクエストもありがとうございます！そちらは続編の「練習帳2」にて近日公開致します。少々お待ちいただけると有難いです…！ (2021年4月6日 13時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年1月8日 18時
