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「じゃ、おやすみな」
「おやすみなさい」
タクシーのドアが閉まって、ようやく彼女と隔たりができた。手先の熱りも収まってきた。
彼女は去り際も大人しいままで、微かに笑みをたたえながら会釈をしてくれていた。一方の俺は大きめに片手を振って、去り行くタクシーを見送りきったそのとき、ようやく冷静さが戻ってきた。それと同時に、恥ずかしさが襲ってくる。
「彼氏彼女、って解釈していい？俺ら」＿＿なんとクサい台詞のことだろう。それでも彼女は、静かながら大袈裟なほど驚いて、喜んでくれていた。
そんな純粋なAのことは、俺が優しくリードしなくてはと心に決めた。
＿＿が、なんということだろう。驚きとともに、喜びが湧いてくる。または感心もした。一瞬ニヤけかけたのはバレなかっただろうか。
まさか、本当に彼女からキスをされるとは思っていなかったのだ。さっき俺が冗談を言ったせいだろうか。
「おやすみ」と呟いて彼女が出ていって、ようやく寝返りを打つことができた。気付いたら頭まで布団を被っていた。今までの女性経験において、キスなんてもう何度もしているのに、こんなに緊張するものだろうか。彼女の緊張がうつっているのか。多分、普段プラトニックな彼女だから余計なのだろう。
＿＿そう言えば、俺が奇行を働いているYoutubeの動画はAに見つかっているのだろうか。もし俺の奇行を知らずに今こんな関係になっているのだとしたら、彼女がなんだか可哀想な気がしないでもない。だからと言って手放してはやらないが。
こんなことを考えて眠れなくなるくらいには、落ちているのだ。これからもずっと、隣にいていいのならいたい。彼女は時おり少しだけ距離を置いてくるから、いつどうなるかはわからないが。
彼女は前、「私が大津さんと一緒にいて、ファンの人から恨まれないのかな」と言っていた。そんなに深刻な顔はしていなかったが、そういう気持ちはいつも少なからずあるのかもしれない。
今現在、彼女という存在がいることは公にしていない。俺が関係を教えたのは淡路くらいだ。あいつもそんなに軽くはないから、きっとそれ以上に広まってはいないだろう。
が、もし公にするとしたら、Aには絶対に危険が及ばないようにする。そもそも俺のファンに危険があるとは思わないが、万一のことがあってはならない。
とにかく今は、一緒にいよう。あわよくばこれからもずっと。
そんな束縛臭いことを思いながら、目を閉じた。
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キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 感想ありがとうございます！御期待に添えられたなら何よりで御座います……。今後とも、御時間があるときにでも宜しくお願いします！ (2021年4月21日 23時) (
レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - みれました！とっても面白かったですすっごくいいお話でした〜！ありがとうございます！これからも応援してます (2021年4月21日 17時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» 遅くなってすみません、続編にてリクエストを公開させていただきました。anotherと書かれているお話までがセットですので、是非合わせて御覧下さい！また、不備が御座いましたらお申し付け下さい……！リクエストありがとうございました。 (2021年4月18日 21時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
葉優 - 練習帳2！楽しみにしてます^_^ (2021年4月7日 19時) (レス) id: ecefa0f2d4 (このIDを非表示/違反報告)
キリカゲ(プロフ) - 葉優さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけて幸いです。リクエストもありがとうございます！そちらは続編の「練習帳2」にて近日公開致します。少々お待ちいただけると有難いです…！ (2021年4月6日 13時) (レス) id: 4f510e9748 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2021年1月8日 18時
