普段通り ページ10
つい項垂れたその時、明るい声が沈黙を裂いた。
「伍島、疲れてんな?無理すんな、たまには息抜けよ?」
…七瀬。確かに、誰かと話して気を休めるのも大切だよね。
「七瀬ー」
「おう、なんだ?」
いつもどおりの七瀬。やっぱり少し落ち着く私がいる。
「写真、誰だった?」
七瀬は不思議そうな顔をした。そういえば、サイコの説明中もこんな顔だった。
…まだ見つけてないのか。
「クッションの下。性格とかが書いてあるんだけど…」
「伍島は誰だった?」
「私は弐筱君ので、弐筱君は七瀬の」
七瀬は顔を曇らせた。知られたくないことでもあるのか?
「ふーん…俺も持ってこようかな! 」
「じゃあ待ってる」
…またいつもどおり?
七瀬は数十秒で戻って来た。
「伍島だった! 」
やっぱり、チーム内で回ってるのか。だとしたら、三河さんは誰の写真なんだろう…
「へー、弱味が"クラスメイト"…」
「七瀬が言うと、なんか嫌だ」
「酷い」
それにしても、なんでサイコが私達の個人情報を知ってるんだろう。
この状況…誘拐だよな。それにしては、あまりにも豪華すぎる。
実は本当にイベントなのか。一体なんなんだ?
「伍島、険しいぜ…」
「酷い」
「おい、いつもみたいに笑ってろよ」
…七瀬、意外と気遣えるんだ。
「あれ?そういやいつも笑ってないか! 」
「笑ってるわ! 」
やっぱり、七瀬は馬鹿七瀬だ。まぁ、激変したところで可笑しいだけか。
「ありがと、気休めた」
「おう、いつでも話しかけろよ! 」
「弐筱君」
「ん、何?」
「さっきの話…続きしない?」
…やっぱり、どうしても気になる。
付き合っているから、とかではない。相手が誰だとしても、弱味を知っておくことで救えるものがあるはずだ。
「いいよ」
「じゃあ部屋に」
「今はごめん、今度なら」
今度って、いつだろう。…今は駄目なのか。
「なんで?」
「…」
まずい、少ししつこかったか…?
「Aさんが良くても、俺が駄目なの。女子でしょ。無防備に部屋に男入れちゃ駄目だって」
…意識しなすぎて失礼だったかも。1度そう聞いてしまうと、対応に困る。
「…ごめん、悩まなくていい。勿論、簡単に襲ったりはしないよ?」
「…わかってる」
弐筱君が優しいことは、皆知ってる。わざわざ気遣わせていたことが申し訳ない。
「難しい顔しないでよ。そうだ、あの棚にボードゲームとかカードゲームがあるらしいよ。今度やろうか」
大人の対応だな…
「ありがとう。だいぶ気が休まったよ」
「そう。何かあったらいつでも言って」
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…!お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします! (2020年12月28日 18時) (レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください! (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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