会話/新 ページ48
「じゃあ、私。」
淡々と話し始めた三河さんは、少しだけ躊躇ってから前髪を分けた。
そして、覚醒したかのようにはっきりと口を開けた。
「初日、写真についての放送までは、自室を探し回ってた。鍵は特に無かったけど…皆持ってる写真と、飾りの額縁裏にお札があった。
写真についての放送後は、扉の隙間から廊下を観察してた。その時…一野は出入りが激しいことに気付いた。」
お札か…見た目には綺麗な場所だけど、やはりいわくつきの場所なんだろうな。
でも、私の部屋と貼ってある場所は違うのか。
それより…一野さんと言えば、気が弱めで、他人の意見を肯定することが多い印象だ。何処か困ったようで、掴み所の無い仕草や表情は、男子受けが良さそうだなと思う。
「夕飯は七瀬と食べて…自室に戻ってしばらくは寝なかった。デスゲームのこと、考えてた。」
そういえば、三河さんと七瀬が2人で夕食を食べたのは昨日だけじゃないんだ。
私達2人がいつも抜けて…何か申し訳無い気もする。
それに、デスゲームのこと…か。もしかすると、一番このゲームを真面目に捉えているのは三河さんかも知れない。
それだけ知識があって…それだけ絶望を知っている。
「まぁ、体感的に11時くらいに寝た。
2日目、小型カメラと録音機についての放送までは、七瀬と写真の交換してた。
私が今持ってるのは伍島の。七瀬が持ってるのは私の。」
まるで言い忘れを指摘するような三河さんの視線に、七瀬は肩を跳ねさせて「悪かったって…」と呟いた。
「放送後は…六原と話してた。その後、その内容を伍島に伝えて、すぐ自室に戻った。
夕飯までは1人で自室に居て、夕飯は七瀬と2人で。」
三河さんは一息吐いて、「質問は」と言った。
驚いたのは、弐筱君と私がほとんど同時に挙手したことだ。三河さんは怪訝そうな顔をしてから、視線を2回程移し変え、内の1人を指名した。
「弐筱」
「ありがとう。…六原君と話したことって、何かな。」
それは………言っていいのだろうか。
三河さんが当分黙っていたことから、弐筱君も察して「言えないなら大丈夫」と付け足した。
「…ごめん」
「いや、いいよ。こっちこそ、突然訊いてごめん。」
紳士…そう思いながら、質問の筋書きを立てる。
それにしても、ここで六原君のプライバシーを考えた三河さんも人格者だな。
「伍島」
「ええと…一野さんって、なんで出入り激しいのかな。」
知ったこっちゃないことなのに、申し訳無い。
だがしかし、一野さんと言えば控えめな感じだから…単純に気になったのだ。
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…!お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします! (2020年12月28日 18時) (レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください! (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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