声 ページ26
同じチームだし、それは気にしなくていいかな。
そういえば、六原君の写真は誰が持ってるんだっけ。問おうとした時、放送前の独特な音が聞こえた。
『皆さん、裏切ってますか?』
サイコだ。聞き慣れてしまった自分に嫌気が差す。
放送は続きそうだ。安全のためにも、人がいる共同スペースに行った方が良いかもしれない。
「共同スペース行っておく?」
「そうする」
三河さんとともに、共同スペースへ向かう。到着すると、それを待っていたかのように、再びサイコの声が響く。
『最初の推理は明日! 皆さん、探り合ってくださいね! 』
元々共同スペースにいた九子さんと四井さんは、体を強ばらせた様子で、耳を澄ませていた。
『今回の放送では、新しい仕掛けをご紹介します! 皆さん、ローテーブルの下は見ましたか?』
ローテーブルの下…小型カメラと小型の機械が取り付けてあった。
『そのカメラと録音機、今までは取り外せませんでした!
しかし! 今この瞬間から、外せるようになりました! 』
外そう、すぐにでも外そう。正当であろう考えが浮かんだ時、狂った説明が流れた。
『それから…部屋に鍵はもとからありませんね?それは、不法侵入アリということ! 』
…そんな。プライバシーの侵害だ。それに、今まで積み上げてきた信用は?
言葉にしにくい怒りが込み上げて来たが、周りに3人も人がいるからと落ち着きを取り戻した。
『カメラと録音機をゲットして、仲間を知るのも良し、裏切りに活用するのも良し! 』
この陽気な話し方が、癪に障るんだよ。
『どう活用するかは自由です!
それから…未だ良心を持つ方が多いですね! 』
サイコは、人の心まで見えるのか?だとしたら、サイコに刃向かう術などない。
………駄目だ、物事をマイナスに考えるな。
『しっかり裏切っていただかないと、番組になりませんので! 今のところは視聴率良いですけどね! 』
昨日教室にいた時、生放送しているとか言ってたっけ。魔界放送だとか言ったり、学生を集団で誘拐したりと、尋常な相手ではない。
_からこそ。
「…あの! 」
『なんですか! 』
訊かなくてはいけない。
今なら、できる気がしたのだ。私が頭の隅でずっと気になっていたことへの質問。ここには女子しかいないから、失敗しても男子に馬鹿にされることはない。
「…あなたは、何者ですか?」
サイコは、今のところ放送でしか現れない。知っているのは声だけ、これでは刃向かいようがない。
『説明係のサイコです、言ってありますよね! 』
「姿は、どんな感じなんですか?」
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…!お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします! (2020年12月28日 18時) (レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください! (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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