やっぱり ページ25
「ええと…弐筱君のことも考えて、本人に聞いてからでいいかな？」
「はい…! 突然ですみませんでした…」
一野さんは、そそくさと自室の方へ歩いて行った。…恥ずかしいものなんだろうか。
一野さんの羞恥心を他所に、私は弐筱君に許可をもらいに向かった。
「弐筱君」
「何？」
「一野さんが、写真交換したいって言うんだけど…交換していいかな？」
弐筱君は、少し唸った後微笑んだ。
「いいよ、一野さんなら」
…何だろう、一野さんならって。なんだか、違和感があってもやもやする。
「あ…ごめん、浮気とかじゃなから。…今んとこ、Aさんでいっぱいいっぱいだから」
周りに聞こえないよう、耳元で話したんだろうけど。ぼそっと話したから、どうもくすぐったい。
「…うん」
浮気なんて、しないとは思っていた。
…のに、少しだけ不安になってしまった。おかしいな、何現抜かしてるんだろう。
軽く手を握り、一野さんの部屋の扉をノックする。友人の家に初めて訪ねる時のような、新鮮な緊張感が手に汗を握らせる。
「はーい…？」
「私、伍島。写真、許可取れたよ」
すぐに明るい返事が聞こえたが、直後に何か大きめの物音がした。
「えっと、どうした？」
「あー…すみません、私運動神経とか皆無で…」
はは、と苦笑いを浮かべる一野さん。大きめの物音は、一野さんが派手に転んだ音だったらしい。
「ええと、写真交換だよね。はい、これ」
しゃがんで、目線を合わせ写真を渡す。
一野さんは、わかりやすく表情を明るくした。
「ありがとう…! 」
…一野さんがこんなに笑ったところ、初めて見た。やっぱり、弐筱君に特別な感情を抱いているんだ。
「じゃあ、代わりにこれを…」
九子さんの写真を受け取り、一礼した後部屋を出た。
一野さんが、弐筱君のことをか。
…仕方無いよな、私達が付き合ってることは、七瀬と三河さんしか知らないし。
「写真、交換したの？」
背後に気配を感じたかと思うと、案の定三河さんだった。
「あぁ、一野さんと」
「誰のと交換した？」
「九子さん」
三河さんは、顔をしかめた。他に希望があったのだろうか。
「…六原が、気になる」
あぁ、六原君、謎めいてるもんな。
億田君が言ってたことも含めると、実際はいい人なのかもしれない。まだゲーム上の話しかしていない私が語れることではないけど。
「ええと、三河さんは交換した？」
「した、七瀬と。今、伍島の写真持ってる」
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…！お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします！ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください！ (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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