朝食 ページ20
確かに、今のところ修学旅行のような雰囲気が漂っている。
サイコも話し方に悪意はないし、食事も何も仕込まれてないし。部屋にも、お札とカメラ…あとよくわからない機械があるだけで居心地は悪くない。
「そうだね…何も起きないといいけど」
「そうですね…」
一野さんは、誰かに同調する時ははっきりしてる。
…自分から意見を言う時はどうだろう。
「それじゃまた…」
＿自分の意見を言う時は、眉をひそめた。
真意こそわからないものの、「それじゃまた」…"話を止めよう"というのは一野さんの意見だ。
同調する場合はほぼ無表情…故に意見を言う時眉が動くことはわかりやすい。
何を探っているんだろうと思いながらも、必死に自分を肯定する。全員が助かるためには、きっと知ることも必要だ。
「うん、それじゃ」
わからなくなってくる自分に不安を抱えつつ、ヘアピンを握り締め自室に向かった。
「おお、旨そう! 」
招集がかかり共同スペースに着くと、良い香りが漂っていた。
朝食は、昨夜と打って変わって和食だ。昨夜はパンとパスタとスープだった。
アレルギーがある人もいるらしいが、やけにその食材が出ないのも不思議だ。
「俺、自室で食うね…」
…六原君、ちゃんと時間には来るんだな。
そうだ。しっかり長所もある。
「李紅、一緒に食べよ」
「じゃあ、ここで食べようか」
私は、どこで食べようかな…
「なぁ、今日はチームで食おうぜ! 」
「そうだね、昨日は俺とAさん分かれてたし」
七瀬の提案と弐筱君の後押しで、朝食は4人で食べることになった。
「場所は、ここでいいよね？」
「いいぜ! いただきます! 」
同じく共同スペースで食べているのは、滝十君と千山君と億田君の3人組、一野さんと九子さんの2人組。
…六原君のチーム、もしや本当に不仲だったりするのかな。
「伍島？」
「ん？」
「いや、ぼーっとしてたからさ。食べねえの？」
七瀬、以外と周りのこと見てるんだよな。
「…なんでもない。いただきます」
元気に振る舞わないと。皆不安なのに、更に心配させたら申し訳ない。
「そうだ。折角集まれたし、何か話そうか？」
弐筱君の提案で、チームで何か話すことになった。互いを知る良い機会だ。
「好きな食べ物! 」
「…好きな遊び」
どちらも初対面で話すようなことじゃないか。なんか2人、地味に気が合ってる…？
「俺は…これから、どう行動を起こすかかな」
…これから。そうだよね、この状況でどう全員生存するか。
…どうしようか。
「あ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…！お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします！ (2020年12月28日 18時) (
レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください！ (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
