少女漫画 ページ18
なんというか_少女漫画のような展開だ。わざとらしく甘い雰囲気で、それが反って怖くて。
「大丈夫、六原君そんな感じじゃないから」
「…そっか」
弐筱君にも、色々あるのだろうか。心境の変化とか、私にはわからないこととか。
…訊かない方がいいかな。
「ごめんね、心配うざったいよね?」
「ううん、でも……何かあった?」
つい訊いてしまったけど、大丈夫だろうか。
この非常事態に、大切な何かが壊れてしまうんじゃないかと不安になる。私も今は自分に自信が持てない。
「いや…三河さんが、デスゲームって言ってたよね?」
「うん」
「じゃあ、いつ誰が亡くなってもおかしくない…んだよね」
その言葉には、実感が沸かない。まだ死人も出ていないし。未だイベント説を捨てられない私は、ちょっと重症かもしれないが。
「だから、やりたいことは許される範囲でやっておこうかな…って思ったんだ」
…やりたいことが、これなんだろうか。弐筱君に、こんな理想があったんだろうか。
「…ごめん、やりたいことなんて気付けなかった」
「全然?俺が言ってなかったのが悪いし、怖がらせてごめんね」
…つくづく紳士だな。私なんかが弐筱君と付き合っていていいのか、時折不安になる。
「流石、お熱い」
「平和」
何故だ、いつの間に。
「七瀬…!! 」
「な、なんで三河はスルーなんだよ! 」
どうせ、隠れて見ようなんて言ったのは七瀬だろう。
「三河も案外ノリノリだったし…ちょっと置いてくなって! 」
「弐筱、行こう」
「三河さん…」
まぁ、少女漫画ならもっと上手く行くか。
だから、きっと。
まだ、生きる時間はあるはずなんだ。
「おはようございますー…」
「お早う諸君」
共同スペースに戻ると、一野さんと九子さんも起きていた。これで、起きていないのは六原君だけだ。
「六原は?」
「朝食まで休むって」
…それよか、九子さんの挙動が気になる。さっきから、準備体操の進化系的な動きをしているのだ。
「九子さん、何してるの?」
途端、九子さんは目を輝かせた。
「気付いたか、流石だな。いつ奇襲されてもいいように、訓練をしていた」
訓練か、独特な人だな。しかし、奇襲は有り得ないことじゃない。
「私は毎朝訓練をしているのだが…」
毎日か…やはり独特な人だ。昨日六原君のチームの様子は知れたが、九子さんのチームの様子は知らない。
少しだけ、聞いてみようかな。
「そっちのチーム、どんな感じ?」
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キリカゲ(プロフ) - なっちさん» コメントありがとうございます…!お褒めの言葉を賜り光栄です。この小説に需要があったということに感激しました…尊敬だなんて勿体無いくらいです。ほぼ自己満足状態ですが、少しずつ続編の更新もしていきますので良かったら宜しくお願いします! (2020年12月28日 18時) (レス) id: 696f81e61f (このIDを非表示/違反報告)
なっち - 続編に行っているようなので読まれないことを承知で書きますが、この小説、とても好きです。私はこういう複雑な人間感情を書いた小説を面白いと感じるのですが、こんなに複雑で面白い感情の小説をかける作者様、尊敬します。これからも頑張ってください! (2020年12月28日 16時) (レス) id: 8cb8225128 (このIDを非表示/違反報告)
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