ep.32 ページ32
ーーここでの暮らしは、永遠じゃない。
１２歳になるまでには皆、里親を手配され巣立っていく。
今日も、また一人
『……』
まさか、子供たちだけでなく
ーー貴方まで送り出すことになるとはね。
私一人で十分だと言ったのに、と
その存在に辟易としていたのは今に始まったことじゃない。
お互いに嫌悪し、お互いを恨んでいる。
『早くクビになればいいのに』
「早く出荷されればいいのに」
そんな会話も、子供たちのいない所ではしょっちゅうで
いなくなればいいのに、なんて思っていたけれど
ーー案外簡単に、その日は突然訪れてしまった。
いつも通りの時間、いつも通りの場所で席につく子供たち。
ーーけれど、いつもと少し違うのは
テーブルにはいつもよりも少しだけ豪華な食事が並んでいて
お誕生日席のように、違う席に座っている人がいること。
『さ、みんな。いただきます
ーーと、言いたいところなんだけど』
「「……え？」」
晩ご飯の前の、ほんの数秒の間。
早くご飯が食べたくて、今にも涎が溢れそうになっている子
何かがある、と察して不思議そうな顔をしている子
ーー嫌な予感がしているのか、顔を強張らせている子。
みんなの顔を一通り見た後、意を決してこう言った。
『みんなに、とても残念なお知らせがあります。』
「は、」
何を言い出すんだ、と言わんばかりに目を見開く先生を見て
ああ、やっぱりここで言うと決めて良かった、と思う。
ーーこの子たちには優しい貴方のことだから、
何も言わずに出ていくつもりだったんでしょう？
今までどれだけ私たちを振り回してきたと思ってるの。
そんなあっさりと、ここを離れさせてやるものですか。
『貴方たちも……そして、私も大変お世話になりました』
後に続く言葉は、もう決まっている。
『A先生が、退職することになりました』
「「「……え、」」」
「……ッ！！納得行かねえ！！！！」
「レイ！？暴力はよせ！！」
多くの子供たちが混乱する中、私に向かって飛びかかってきたレイと
それを慌てて止めようと走ってくるドン。
次第に状況が掴めてきて、泣き出す子たちの声をBGMに
レイに胸ぐらを掴まれながら、思う。
ーーもう、晩ご飯どころではないわね。
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名無し(プロフ) - やばい！面白すぎてやばい！一気読みして来ました！完結しているのが残念でしたが凄く良い作品でした！ (2021年6月13日 15時) (
レス) id: cfb7b828ee (このIDを非表示/違反報告)
緑豆太 - ママアアアアア (2019年4月15日 22時) (レス) id: 92e40b26df (このIDを非表示/違反報告)
羽毛ふぇると - 給料日の回のマッマめっちゃかわよい....尊き...いっぱいちゅきぃ... (2019年4月13日 2時) (レス) id: 6073aafc50 (このIDを非表示/違反報告)
左京 - めっちゃ好きです！まさか先生とは！今までにない設定なので楽しんで読めます！更新頑張ってください！ (2019年4月5日 19時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：woof x他2人 | 作成日時：2019年4月4日 3時
