ep.22 ページ22
ーー
『あーあ、行っちゃった』
ノーマンとレイに置いて行かれた私は、
駄駄を捏ねていたのを止めて、ぼーっと空を眺めた。
あっ、あの雲はふわふわしていて甘そうだな、とか
雲の上でお昼寝できたら気持ちいいだろうな、とか
そんなことを考えながら寝っ転がっていて気付くのは、
空を見上げるのなんて、久しぶりだなってことだった。
…最近は、外で鬼ごっこもやってないなぁ。
それに、弟たちとも全然遊んであげられてない。
ああ、ドンとギルダには任せっきりで申し訳ないな…
ゆったりと流れる雲を眺めていると、自然と言葉が溢れていった。
『…何も知らなければ、今頃』
…！！私、今なんて言おうとした！？
自分の口から出たとは思えない言葉に驚いて、
反射的に起き上がった。
「どうかしたか？」
『……あっ、レイ』
顔、真っ青だぞ、と
いつの間にか帰ってきたレイは私の顔を覗き込む。
さっきレイにあれだけ啖呵を切っただけあって、
ちょっと気まずい気持ちになる。
…聞かれてないよね？
『大丈夫、ちょっと弱気になっただけ！』
「あ、そう」
レイがさして興味なさげに応えたところで、
レイの後ろからノーマンが顔を出した。
「エマ、レイが協力してくれるってさ！」
『ええ、本当！？』
「渋々な、渋々」
それでもいい。知識の豊富なレイが味方になってくれたら心強いし、
何よりすごく嬉しい！
私がありがとう！と叫んで飛びつこうとすると、
待て、と犬に言うかのように止められた。
「協力するとは言ったが、勝算のねえバクチじゃダメだ」
それはもちろん。
私もノーマンも、負けるつもりなんてない。
「外を知り、敵を知り、策を打ち、生き延びる」
「やるからには勝つぞ」
『うん！』「おー！」
私は握りこぶしを作り、空に向かって突き出した。
ーー二人、改め三人の脱獄計画はいよいよ動き出す。
何も知らなければ、今頃…
その後に続く言葉が語られることは、もうない。
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名無し(プロフ) - やばい！面白すぎてやばい！一気読みして来ました！完結しているのが残念でしたが凄く良い作品でした！ (2021年6月13日 15時) (
レス) id: cfb7b828ee (このIDを非表示/違反報告)
緑豆太 - ママアアアアア (2019年4月15日 22時) (レス) id: 92e40b26df (このIDを非表示/違反報告)
羽毛ふぇると - 給料日の回のマッマめっちゃかわよい....尊き...いっぱいちゅきぃ... (2019年4月13日 2時) (レス) id: 6073aafc50 (このIDを非表示/違反報告)
左京 - めっちゃ好きです！まさか先生とは！今までにない設定なので楽しんで読めます！更新頑張ってください！ (2019年4月5日 19時) (レス) id: d703cd32c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：woof x他2人 | 作成日時：2019年4月4日 3時
