47(しょうたSide) ページ47
俺は、目黒蓮を一人アトリエに残して、あべちゃんを探しに外に出た。
翔太「あべちゃん、ここに居たんだ。」
あべちゃんが教室の裏庭にあるベンチに座ってぼんやりしているのを発見し、声をかける。
彼は振り返ると少し困ったような顔をして俺がこちらへ歩いてくるのをジッと見つめていた。
最近染めなおしたばかりの茶髪が太陽に照らされて視覚的に見える魅力というものを放っている。
俺らはお互いに手を差し出して、ハグを交わす。
俺ら二人だけの特別な挨拶だ。
亮平「蓮は？」
翔太「今は絵を描いてる。これでよかったの？彼、お前に怒り心頭だったけど？」
亮平「あはは、ありがとう。これでいいんだよ。俺の存在で蓮の邪魔はしたくないからね。」
あべちゃんは近所の自販機で買ってきたであろうホットコーヒーを喉に流し込む。
砂糖もミルクも入っていないそれは舌がひりつくほどの苦みがあったのか彼の目が潤んだ。
彼は俺に「飲む？」と差し出す。
俺は口にしてもいないその飲み物を見て苦そうな顔をして首を振った。
世で言う「大人の味」というものはどうも好きになれない。
翔太「ちょっとそっち寄って？」
彼が少し横にずれると、俺はすかさず隣に滑り込む。
小さめのベンチは成人男性二人が座るには少々スペースが足りない気がしたが、あべちゃんはさして気にしていないようだ。
亮平「どう？蓮はここで働けそう？」
翔太「絵の知識も見識もあるように見えたけど、彼の作品はこれから見るから。」
俺はベンチの背もたれにだらりと凭れて、のんびりと答えた。
長い俺の足であべちゃんの足に絡みつく。
すると彼はえへへ、と子供らしく嬉しそうに笑って頬を俺の肩に擦り付けた。
亮平「この前ね授業のプリント用にアリのイラストを描いてもらったんだけど、とっても上手だったんだ。だから腕も期待していいと思う。」
翔太「そっか。ねぇ、お前コーヒー臭い。」
亮平「でも、なんか引っ掛かるんだよね？」
あべちゃんの煮え切らない言葉に俺は彼の顔を見つめる。
彼が俺から離れたのでちょっと寒い。
翔太「何が？」
亮平「結構あの子しっかりしてるし、絵だって上手なのに、家もないし、バイトも転々としてて、全然お金を持ってないみたいなんだ。それがすっごい俺には不思議でさ、俺より掃除も料理も上手にできるのに……」
翔太「お前、掃除できないもんな？」
確かに、アイツは何でも出来そうな奴だった。
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桜桃(プロフ) - 雛さん» うんっ！頑張ろ〜٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2021年9月19日 23時) (
レス) id: 6b6429c2bb (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» はーい！お互いに頑張ろっ！ (2021年9月19日 23時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
桜桃(プロフ) - 雛さん» こちらこそありがとう〜！次の更新もお楽しみに〜^ - ^また思いついた時に「パパぱん」のコメ欄によろしくね〜 (2021年9月19日 22時) (レス) id: 6b6429c2bb (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» パパは、パン屋さんっ！次の更新、楽しみにしてます！あと、この間はリクエスト答えてくれてありがとう！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» ありがとー！これからも頑張る！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月14日 22時
