15 ページ15
ホットミルクを十分に冷まして、お好みの温度にした俺は、それを一口啜ってみた。
その途端に口の中に優しい甘さが広がって、なんだか気持ちまで優しくなった気がした。
蓮「このホットミルク美味しい……」
俺が思わず感嘆の声を洩らすと、彼はすかさず「だろう〜？」と俺の肩に頭をぶつけてきた。
ミルクがポチャンと波立つ。
零さないよう慌ててバランスを整えて隣の彼を睨むと、彼はあははっと声を出して笑った。
彼は本当に良く笑うし、きっと箸が転がっただけでも大笑いするだろう。
彼の笑いのツボがどこにあるのか俺には分からなかった。
ひとしきり笑った彼は目尻の涙をごしごしと手の項で拭い、立ち上がった。
亮平「俺んちの洗濯機、洗濯乾燥モードにすると3時間は掛かるんだ。ここにいるのもあれだからリビングでテレビでも観よう。あ、ちゃんと座る場所は作るから。蓮くんのこともっと知りたいし。ね？」
彼の提案に素直に乗るのは正直嫌だったが、このまま洗濯機の前で3時間もにらめっこするのはバカバカしい気がした。
シャワーを借りた時点で運命は既に彼の思い通りに進んでいるのだから今更抗いようも無いのだ。
蓮「分かりました。」
亮平「お腹空いてる？宅配でピザでも頼もうよ。」
蓮「食べます。」
亮平「もぉ！素直にお腹空いてますぐらい言いなよ。」
蓮「嫌です。」
しかし俺は最初と比べると聞き分けのいい子にはなったと思っている。
断ったって跳ねのけたって目の前の彼には通用しないということは、それはこの短期間でよく分かった。
俺は周囲の雰囲気に合わせるのが得意だから今もいつも通り流れに従えばいい。
差し伸べられた手は素直に掴み、跳ねのけられれば立ち去る。
そうすれば誰も俺を責めない。
誰も不幸にならないし、全て平穏のまま進んでいくのだ。
彼はそんな俺に向かって爽やかな笑顔を浮かべた。
蓮「やっぱり今日、ここに泊めてもらっていいですか？雪止みそうにないし、俺ももっとあなたのこと知りたいから。」
亮平「……えっ、」
俺の突然の言葉に彼は綺麗な瞳を見開いた。
少々強引すぎる俺の方向転換に違和感を覚えたのだろうか。
亮平「……俺のこと、、、？」
彼は途端に神妙な顔つきになって俺の両肩を掴んだ。
彼の指にはどんどん力が入ってゆき、彼の爪の先が俺の肩の皮膚に食い込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜桃(プロフ) - 雛さん» うんっ！頑張ろ〜٩(๑❛ᴗ❛๑)۶ (2021年9月19日 23時) (
レス) id: 6b6429c2bb (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» はーい！お互いに頑張ろっ！ (2021年9月19日 23時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
桜桃(プロフ) - 雛さん» こちらこそありがとう〜！次の更新もお楽しみに〜^ - ^また思いついた時に「パパぱん」のコメ欄によろしくね〜 (2021年9月19日 22時) (レス) id: 6b6429c2bb (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» パパは、パン屋さんっ！次の更新、楽しみにしてます！あと、この間はリクエスト答えてくれてありがとう！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
雛(プロフ) - 桜桃さん» ありがとー！これからも頑張る！ (2021年9月19日 22時) (レス) id: 49eb3e1d4b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雛
| 作成日時：2021年9月14日 22時
