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60(涼太Side) ページ10

ハムスターのように頬袋いっぱいに詰め込んで咀嚼する彼の顔が少しばかり赤い気がして、俺は見ないふりをする。


俺にはまだ”彼女”がいるから、彼に「好きだ」などと言われても困るだけである。


涼太「俺はあなたが望むことは何もしてあげられませんよ?」


大介「いいよ別に。見返りは求めない。」


ニュースの天気予報コーナーが終わり、連日報道されているストーカー男の話題にシフトする。


俺たちの会話は彼のその一言で終わり、狭い居間にニュースキャスターの声だけが淡々と流れ始める。


俺は面倒な咀嚼を止め、二人の間に流れる妙な静けさから逃げだすように目を閉じた。


いつかこの何でもない時間すらも夢のような幸せな日々として昇華されてしまうのだろうか。


冷たい大気の透明と朝日の薄い色を混ぜたような部屋の匂いや蛍光灯の安っぽい白、部屋に漂う少し気まずい空気すらも、美しい絵画のような思い出に成り果ててしまうのだろうか。


いつか”彼女”との思い出に縋り付いて生きる自分が、未来にいなくなるのかもしれない。


あの頃に戻りたいと子供のようにみっともなく泣き続ける世界が、もしこの先にあるのなら、俺はどうやって立ち直るのだろう。


俺がそんなことを延々と考えていると、突然目の前の彼の箸が止まった。


何やら深刻そうな表情をしており、気になった俺は彼が視線を向けている方を見てみる。


テレビの画面には40代後半くらいのふくよかな男性が真面目な顔で真面目に原稿を朗読していた。


彼はそれ見ながら真剣な表情で、「あの人ヅラじゃん」と一言。


そうはっきりと断言した。


俺の陰鬱とした思考は、その一言であっけなく吹き飛んでしまったようだ。

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(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます!本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます!リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです!宜しければ書いてくださると嬉しいです! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年9月19日 20時

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