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83(亮平Side) ページ33

俺の顔を静かに見下ろしていた蓮は透き通った顔を少し困らせて、「起こしちゃいましたか」と俺の額にそっと指を添わす。


彼の指先は何かをカリカリと引っ掻く様に動くと、ペリペリと温くなったシートが額から剥がれていく。


蓮「冷却シート取り替えますから動かないでくださいね?」


蓮はそう言って、危なげない手つきでシートに張り付いた薄いビニールを剥がし、俺の長い前髪を左手で額を撫でるようにかき上げた。


彼の手の平がひんやりとして冷たい。


途端に寒気が襲ってきて、俺はううっと唸り身震いした。


冷蔵庫でしっかり冷えたそれを俺の額に乗せた蓮は、それが剥がれないようにグッと抑える。


その感触がなんだかどうしようもなく懐かしくて、目の奥が熱くなった。


いつだったか、あの人もこうしてくれたっけ……


亮平「ありがとッ……」


涙声で彼に伝えると、優しい笑みを返される。


蓮「今起きられますか?」


俺が手を伸ばそうと肩を少し上げると、蓮は俺の背に腕を差し込み、ゆっくりと持ち上げてくれた。


不安定な背中を逞しい片腕で支えてくれ、透明の水が入ったガラスのコップを手渡される。


蓮「水が飲めますか?いっぱい汗を掻いたから水分補給してくださいね?」


蓮からコップを受け取り、ゆっくり中の水を口に流す。


しかし手が震えて上手くバランスが取れず、ボタボタと数滴零してしまう。


掛け布団の上に落ちたそれを彼は手際よく布で拭きとり、スッと顔を上げると、次は濡れた俺の口元を彼の服の袖で拭ってくれた。

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(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます!本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます!リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです!宜しければ書いてくださると嬉しいです! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年9月19日 20時

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