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彼は切羽詰まったように荒々しく立ち上がった。


向かい側に座る俺の横に駆け寄り、俺を彼の細い腕に閉じ込めた。


まるで、幼い子供が仕事に行く親を行かないでと引き留めるように。


甘い匂い。


そして冷えた身体にじんわりと染みるような彼の熱。


俺は亮平の胸に顔を押し付けられた。


突然真っ暗になった視界に戸惑い、手に持っていた箸をバラバラと床に落とした。


茹るように熱い全身の血が高速で駆け回り、それが全て顔へと集中していく。


俺が気まずさに彼の腕から抜け出そうと身を捩ると、亮平の腕が更に強く締まり、ついに身動き一つとれなくなってしまう。


亮平は不意に喉を引き攣るように鳴らした。


そして、次の瞬間には華奢な体をブルブルと震わせ、嗚咽を零していた。


彼は掠れた泣き声で俺の名を呼ぶ。


亮平「れんっ……れんっ……行かないで……みんなと関係切るからっ……だからお願いっ……」


亮平は壊れたオモチャのように同じ言葉を繰り返し、俺の頭に頬を擦り付けて泣いた。


亮平「行かないで……俺を、一人にしないで……俺、また捨てられるの……?」


ポトポト、雨漏りの雫のように彼の熱い涙が落ち、俺の額を撫でて流れ落ちる。


先ほどまで笑顔で一杯だった彼の様子は一変してしまった。


俺のたった一言で……。


蓮「ごめんなさい、冗談です、まさかあなたがこうなるとは思わなくて……」


俺は亮平の胸の中で、戸惑いながら必死に弁解した。


蓮「俺はどこにも行きませんから。だから泣かないで亮平……」



俺がそう言ってそっと彼の背中に腕を回し、ゆっくり擦ってやる。


俺は、今日初めてちゃんと彼の名前を口に出して呼んだ。


口に出すともう戻れなくなる気がして、ずっと心の中だけで呼んでいたその名前を……


すると亮平は段々と体の力を抜き、腕をダラリと下ろすと俺に凭れかかるように倒れてきた。


彼の顔が俺の肩に落ちてくる。


名前を呼んだらもっと喜ぶと思ったのに。






―― 彼の様子はおかしくなる一方だった。







亮平の呼吸はまるで外で走ってきたように荒かった。


肩に触れた頬は熱を持っており、怪訝に思って彼の額に掌を添えると、ジュッと皮膚が焼ける音がしそうなくらいに熱かった。


蓮「っ、大丈夫ですか!?」


荒い息を吐くだけで、彼は閉じた瞼をピクリともさせず、俺の必死な問いかけにも一切答えられなかった。

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(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます!本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます!リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです!宜しければ書いてくださると嬉しいです! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年9月19日 20時

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