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家に帰ってからも懲りずに呼びかけ続けた。
でも、何度呼んでも返事が返って来ない。
―― 彼はもう俺を見てくれない。
蓮「ねぇってば！」
我慢できなくて、俺は自室に逃げ込もうとした亮平の肩を掴む。
触れた瞬間、彼はビクッと大きく体を震わせた。
蓮「……やっと捕まえた。ねぇ、どうして俺を避けるんですか？」
小さな肩を更に縮こませ俯いたまま、亮平は息を吐いた。
亮平「……俺を呼び止めないでっ！」
蓮「え、」
亮平「俺のこと、ねぇって呼び止めないでっ……」
蓮「ど、どうして、いきなり……」
戸惑う俺から逃げるように、亮平は肩を掴んだ俺の手から逃れて自室に飛び込み、扉を閉めようとする。
俺は閉まる寸前のところで扉を捕まえて動きを封じた。
扉を閉めようと押す亮平と扉を開けようとする俺。
俺たち二人はお互いに部屋の前でギチギチと扉1枚を挟んで押し問答を繰り返した。
亮平「今日は疲れたのっ！もう寝るから離してっ！！」
亮平は上ずった声で叫んだ。
俺はこの家に来てから初めて彼に大声で怒鳴られて、ショックで動けなくなった。
心が張り詰めて、今にも裂けてしまいそうな声を出した彼は死に物狂いで俺のことを拒絶する。
ふと見えた彼の表情に俺は目を見開いた。
亮平の目尻には涙が溜まり、今にも泣きだしてしまいそうだった。
蓮「どうして泣きそうな顔してるんですか！答えてください！」
亮平の手の力が一瞬緩むのを見逃さなかった俺は、その瞬間に彼の手から扉を引き剥がして細い両手首を掴み上げた。
そのまま壁に亮平の身体を押し付ける。
いわゆる「壁ドン」という奴だが、俺らの初めての壁ドンはロマンチックさの欠片も無かった。
壁に磔にされた亮平は顔をクシャクシャにして、俺を睨みつける。
零れた幾数もの涙が彼の頬を滑り、霰のように床に落ちた。
亮平「離してよっ……！」
蓮「嫌です。泣いてるあなたを放っておけない……」
亮平「なんでっ！！なんでなのっ？なんで放っといてくれないのっっっ！！！」
―― あなたのことが気になるから。
―― あなたをもっと知りたいから。
蓮「あなたがどうしてこんなに苦しそうなのか、気になって眠れそうにないからです。」
俺が亮平の目に掛かった長い前髪を除けて、耳に掛けるように横に流してやると、彼は甘える猫のように目を細めた。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます！本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (
レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます！リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです！宜しければ書いてくださると嬉しいです！ (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛
| 作成日時：2021年9月19日 20時
