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それはうっとりするほど濃く、脳髄を溶かしてしまうくらい深い。
するりと鼻の側面を撫でるように鼻を擦り付けられた。
背筋からゾクゾクっ、と甘い痺れが駆け上ってくるのを感じた。
霞んだ思考の中で、俺はただひたすらに柔らかく少し湿ったそれが己の唇を食む感触を甘受した。
涙で濡れた彼の唇は少ししょっぱい。
しかしお互いの唾液で少しずつ濡れていくと、それは甘さへと転じた。
するりと、うなじを撫でる滑らかな彼の掌が妙にいやらしくて、下半身がジワジワと熱く張り詰めていくのを感じる。
それを彼の腹に擦り付けるように動かせば、ピクリッと薄い腰を跳ねさせて、彼は更に密着してきた。
あぁ、悪いことしてるみたいでゾクゾクする……
このスリルがたまらない……
腰を動かすのが止まらない……
シンプルに気持ちいい……
もっと欲しい。
彼は頭に抱き着く様に腕を回し、口づけを更に深めようとネットリッとした舌で俺の唇を割り開き、口内に侵入してきた。
熱い熱に侵されていく。
唾液に濡れたその感触が生々しく、今、彼と口付けを交わしていることを嫌でも実感してしまう。
頭がおかしくなりそうだ。
こんなにキモチイイこと知らない。
兄さんだって教えてくれなかった……
亮平「――っぁぁぁ、」
彼が小さく喘いだ。
その声を聞いた瞬間、突然俺は冷水を浴びたように現実に引き戻された。
俺も彼も……
……それぞれ別の人を思っているのに。
―― 何してんだろ、俺たち、、、
不意に我に返った俺は抱き着く亮平を無理矢理に押しのけた。
押すだけで簡単に亮平の温もりは離れて行った。
亮平「っ、はあ、はあ……」
ビクビク痙攣する亮平を見て、俺は反射的に立ち上がる。
慌てて生々しい感触を掻き消すように乱暴に手の甲で拭うが、脳に刷り込まれた温い体温や、感触、匂いがジワジワと皮膚の奥から湧き上がり、痺れるような甘さがぶり返して疼いてくる。
俺は頭を振って何とか冷静を保とうとした。
これ以上気を緩めるとどこまでもおかしくなってしまいそうだ。
―― このまま熱に溺れていたら、俺たちはどこまで行ってたんだろう。
腹の底から湧き上がるようにして恐怖が身体を駆け上っていくのを感じた。
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雛(プロフ) - まりなさん» お返事遅くなり、申し訳ありません(汗)コメントありがとうございます!本編が終わってからになりますが、リクエスト書かせていただきます。こちらこそ、これからも末永くご愛読のほど宜しくお願い致します。 (2022年1月25日 20時) (レス) id: 9f89b51e27 (このIDを非表示/違反報告)
まりな - 初めまして、雛さんの作品をいつも楽しみに読んでいます!リクエストなのですが、このお話の中に出てくる登場人物の過去編や未来編、だてさくメイン編も読んでみたいです!宜しければ書いてくださると嬉しいです! (2022年1月22日 13時) (レス) id: 4c6ff4de06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛 | 作成日時:2021年9月19日 20時