46話 ページ46
村に戻ってきてからは大変だった。
眠っているAを父親に預けた後は村の大人たちにどこに行ったのか、なぜグルッペンは怪我をしているのかと問いただされる。
「いつも通り遊んでいたら転んだ。Aは俺の怪我を見て泣いたんや。そしたら疲れたみたいで寝た。」
あくまで本当のことを言う気はないグルッペンは大人たちにそう言った。
俺もその話に合わせるように同じことを言う。
そうか。なら良いと納得した大人たちは俺らの周りから去っていった。
俺とグルッペンは顔を見合わせて、近くにいた大人に話しかける。
「一つ聞きたいんやけどなんで裏山ってなんで入ったらあかんの？」
確かに今日はあの男が来たことでAが傷付いてグルッペンが怪我をした。
でもそれ以外はのどかで綺麗な場所だった。
だから村の大人がなぜ行くことを禁じているのかが不思議で仕方なかった。
それはグルッペンも同じだったようで、2人で山から下りている時に大人に聞こうと話し合った。
「あぁ、お前らももう大きくなるし話してもいいか。あの裏山にはな、魔女が出るんだ。お前たちも魔女のことは知っているだろ？前の戦争で人間を滅ぼそうとした悪魔の化身。だから誰も近寄らないようにしているんだよ。」
行くんじゃないぞ。と言葉を付け足した村の大人は俺たちの前から立ち去った。
…おかしいやろ。
確かに魔女の力は人間では到底及ばない。だから危険視するのも理解はできる。
それでも、Aのように自分の力を恐れていて、自分を責めている魔女もいる。
そもそも戦争を始めたのは人間たちだ。
それを全て魔女のせいにしている村の大人やさっきの男を思い出して唇を噛み締めた。
「なぁ。」
不意にグルッペンに声をかけられて顔を向ける。
そこには俺と同じように悔しそうな顔をしたグルッペンが居た。
「他の魔女のことはわからない。もしかしたら村の奴らが言うように人間を滅ぼそうとした奴もいるかもしれない。でも、あいつは、Aは違うやろ。…あいつが苦しむのはもう嫌や。」
そう言ったグルッペンに同調するように頷く。
「トントン、あいつが安心するような国を作るぞ。」
グルッペンがそう言った瞬間に俺の心にはっきりとした目標ができた。
Aが笑って、安心して暮らせる。そんな場所を作る。と
−−−−−−
「トントン。」
ハッと昔の記憶を思い出していた俺の耳元からグルッペンの声が聞こえた。
「この戦争、俺が前に出る。後ろの隊はお前が仕切れ。」
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リンク(プロフ) - シケ様 感想ありがとうございます。面白いと感じて頂けて幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (
レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - うぃ様 こんにちは。お褒めの言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - おじゅん様 初めまして。更新が遅くなってしまい申し訳ございません。たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。これからも変則的ではありますが更新してまいります。どうぞよろしくお願い致します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
シケ - ちょー面白いです！続き待っております(｡･ω･｡) (2018年10月14日 17時) (レス) id: cfbdc17c2a (このIDを非表示/違反報告)
うぃ - ちわぁっす！おもしろいですね！続き待ってます！ (2018年8月31日 19時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンク | 作成日時：2018年6月18日 16時
