25話 ページ25
お風呂から出るとゾムさんはソファの上でフードを被りながら眠っていた。
机の上には薬を飲んだであろう跡が残っており
よほど苦い薬を飲みたく無いのだろうと伺えた。
近くまで行くとすぅと呼吸音が安定しているので
本当に寝ているのだと思う。
じゃあその間に私は明日の準備をしなくてはいけない。
ゾムさんを起こさないように寝室のドアを開けて
必要最低限の衣服や必要なものを少し大きめのバッグに畳んで入れていく。
その時に、幼い頃着ていた自分の服を見つける。
この服を着ていた時は、グルちゃんやトンちゃんが一緒にいたな。と思い出しながら彼らを待たなかった自分に対して心が重くなった。
ごめんなさい。私は私が思っていた以上に弱くて
貴方達をこれ以上待つことが苦しくなってしまった。
ゾムさんと暮らして人の暖かさを思い出してしまった。ごめんなさい。許さなくていい。もしかしたら2人はもう私のことなんて覚えていないのかもしれない。でも、私はずっと貴方達の幸せを願っているから。
小さい頃の服を抱きしめて言い訳のように心に言葉を繋げた。
この家は父が最後に私にくれたプレゼントだ。
だから勝手に売られることはないだろうし、鍵を閉めておけばいいだろう。
ゾムさんについていくことで、もうこの家に戻らないかもしれない。
それでももう、一人ぼっちは嫌だ。
粗方の荷物を詰めて寝室のドアを開ける。
目の前には緑色の壁があってそのままぶつかってしまった。
「嫌な決断させてごめんな。」
小さい声で私に謝るゾムさん。そのあと私をすっぽりと包んで抱きしめてくれた。
ううん、そうじゃないの。ゾムさん。
「私のことを連れて行ってくれてありがとうございます。」
私を置いていかないで。その願いをかなえてくれてありがとう、と精一杯の気持ちを込めてゾムさんに伝えた。
ゾムさんは私の首元に顔を埋めて、ん。と小さく返事をしてくれた。
さぁ、明日も早いからもう寝よう。そう言ってゾムさんに声を掛けた。
最後の夜だからと私がベッドで寝るようにとゾムさんが勧めてきた。今日は私の方が疲れているからって。
お言葉に甘えておやすみなさい。と言いゾムさんから離れた。
ベットに入る頃にはゾムさんに抱きしめられていた体温は無くなってしまったが、少しだけ彼の匂いがしていつの間にか眠ってしまった。
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リンク(プロフ) - シケ様 感想ありがとうございます。面白いと感じて頂けて幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (
レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - うぃ様 こんにちは。お褒めの言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - おじゅん様 初めまして。更新が遅くなってしまい申し訳ございません。たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。これからも変則的ではありますが更新してまいります。どうぞよろしくお願い致します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
シケ - ちょー面白いです！続き待っております(｡･ω･｡) (2018年10月14日 17時) (レス) id: cfbdc17c2a (このIDを非表示/違反報告)
うぃ - ちわぁっす！おもしろいですね！続き待ってます！ (2018年8月31日 19時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンク | 作成日時：2018年6月18日 16時
