20話 ページ20
違う。約束を破るわけじゃない。
‐‐迎えに来てくれるのを待たなくていいの？
待っていた。ずっとこの10年間、ずっと…
‐‐逃げるの？
違う
‐‐二人のことを裏切るの？
「違う！！」
お皿が私の手から滑り落ちて床に吸い込まれていく。
ガッシャーンと音が鳴り、バラバラにお皿が割れる。
そんな音を聞いて、ゾムさんが焦ったように脱衣所から出てきた。
「どうしたん！怪我してへん？」
きっと音を聞いてすぐ出てきてくれたのだろう。割れたお皿をみて、私の心配をしてくれたゾムさんを見ると、水を多く含んだ柔らかそうな茶色の髪の毛からは水滴が床にポタポタと落ちていた。髪を拭かずに来てくれたのだろうか。
「A？どうしたんや。」
何も声を出さない私をのぞみこむようにゾムさんが私に視線を合わせようとしてきた。
途端にかぁっと恥ずかしくなった。私は、つらいから、2人に必要ないと言われたことから逃げたいから、優しいゾムさんを…利用しようとした。
そのことに気付いた瞬間、リビングのドアを乱暴に開けて1階に降り、店から飛び出した。
ぼやけていく村の景色を走りながら見て、どこに行けばいいのかわからずに必死になって走った。
※
zm−side
俺の目の前から逃げるように走っていたAに呆然としてしまった。
自分は何かしてしまったのだろうか。そう自分に質問したが簡単に答えが返ってきた。
診療所から出てきたAに明日いなくなること。一緒に来てほしいことを伝えた。
きっとそのせいで彼女は悩んでしまっている。
時計を見たが、短針が10を指しており、慌ててAが洗濯してくれた自身のパーカーを着て彼女を追いかけた。
悩んでしまっている。悩んでくれている。そう感じた俺の心はすでに歪んでいて
嬉しさで頭が支配された。
あぁ、彼女には明日の朝までと選択肢を言ったが俺はきっと…−。
「もう離してやれんわ。ごめんな。」
誰もいない宙に向かって謝る。俺は早く彼女を見つけるために意識を集中させて
彼女の気配を探った。
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リンク(プロフ) - シケ様 感想ありがとうございます。面白いと感じて頂けて幸いです。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (
レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - うぃ様 こんにちは。お褒めの言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - おじゅん様 初めまして。更新が遅くなってしまい申し訳ございません。たくさんの嬉しいお言葉ありがとうございます。これからも変則的ではありますが更新してまいります。どうぞよろしくお願い致します。 (2019年1月12日 19時) (レス) id: 85cd1761d7 (このIDを非表示/違反報告)
シケ - ちょー面白いです！続き待っております(｡･ω･｡) (2018年10月14日 17時) (レス) id: cfbdc17c2a (このIDを非表示/違反報告)
うぃ - ちわぁっす！おもしろいですね！続き待ってます！ (2018年8月31日 19時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リンク | 作成日時：2018年6月18日 16時
