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「涼太、なにやってんの？」
屈んだままだった彼は、声をかけられて立ち上がる。
ふわと良い香りがした。
「うんちょっとね。そろそろ行く？」
「うん」
彼、りょうたさんって言うんだ。
その名前を口にした男性がチラッとこっちを見て頭を下げられた。
釣られて私も。
「それじゃあ」
「…はい」
テーブルに置いていた本を持って会計に向かう後ろ姿を目で追った。
「あっ、」
「どうしたの？」
「ハンカチ…」
珈琲の染みが移ってしまったハンカチ。
自分のものを見ず知らずの私にあっさり貸してくれた。
また会えるかな。
りょうたさんの笑顔が、夢の中の男の子と被ってドキドキがおさまらない。
「A顔赤いけど」
「へ？ そ、そうかな？」
「かっこよかったよねぇ。今の二人」
「そ、そう？」
「ふふふ」
京ちゃんはなんだか楽しそうに口を隠して笑ってる。
笑い事、じゃないよ。
「服、買わなきゃ」
これじゃあお見合い行けない。
.
ランチの後、京ちゃんと別れて服を買いその場で着替えて汚れたワンピースはクリーニングに出した。
似たようなワンピースを選んだから、ヘアメイクもこのままで大丈夫だろう。
て、かなり適当だわ。
「Aお嬢さま、お迎えにあがりました」
夕方間近になって、予定通り迎えに来てくれた車に乗り込んで、ホテルに向かう流れる景色をただ見つめる。
お見合い、面倒だなぁ。
今頃あの人……りょうたさんは何処で何をしているのかな。
またあのカフェに行けば彼に会えるかしら。
て、何を考えてるんだろう私は。
膝の上に置いた手をギュッと握った。
これからお見合いをする私が、別の人の事を考えてどうするの。
相手の人に失礼があってはいけないのに、断ることも出来ない相手なのに。
ゆっくりと、だけど確実に何かが芽生えようとしてるの。
ほわっと、胸にあったかい何かが。
「はあ、どうしよ」
.
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ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、ありがとうございます(o^^o) (2021年2月15日 6時) (
レス) id: e8b4c75977 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 楽しみにしてます☆ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様、ありがとうございます！素敵と言ってもらえてホッとしてます。終始不安なまま書いていたので。出ましたね(笑)キューピットさん。私も彼を必ず登場させる使命感に駆られてます(笑)残り2名も頑張りたいと思います！ (2021年2月10日 9時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさん、完結おめでとうございます。舘様、素敵でした！そして出たっ、キューピットふっかさん。やはり彼が出ないと(笑)残りの二名も楽しみにしてます！ (2021年2月10日 0時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» aya様、コメントありがとうございます。私の書く舘様大丈夫でしたか（汗）1度始めた連載は必ず終わらせるのが目標なので、このシリーズも必ず最後まで書こうと思ってます。期待してくださって嬉しいです。その期待を裏切らないように頑張ります！！ (2021年2月9日 21時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年12月8日 16時
