彼も私と同じだ ページ29
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「ごめんね、俺の時間に合わせてもらったから中途半端な時間になっちゃって」
「ううん、大丈夫」
「あー、ちょっと呑みすぎたかも」
外の風に触れて少しだけ赤みが引いた顔を綻ばせてる彼を見上げる。
「ん〜？ あっ、大丈夫だから！ 帰りはちゃんと運転手呼んであっからね？」
いえいえ、そんな心配はしてない。
そうではなくて、まさかこんなに世間は狭いのかって思っていただけで。
大介くんの少し後ろを歩いていると見覚えのある車がハザードランプを点灯させたまま停まっていて、そこに迷うことなく大介くんは近寄ると後部座席のドアを開けてくれた。
「大介坊ちゃん！ ドアは私が開けますよ！」
「良いの〜良いの〜。ほら乗って？」
慌てて運転席から出てきた男性は、大介くんの軽い返しに苦笑いしながらもう一度運転席に戻って行った。
「頭気をつけてねぇ」
「ありがとう」
「じゃあ、閉めるよー」
隣に乗り込んだ大介くんは「家まででいいのかな？」、と首を傾げる。
少し考えて、まだ時間も早いしと思って大学近くの駅まで送ってもらう事にした。
そこから歩いて帰ろう。
頭の中をちゃんと整理しなくちゃ。
「大介くん、今日はありがとう。とても素敵なレストランだった」
「気に入ってもらえて良かった。あそこは俺の知り合いのお店だからまた行こうね」
私は笑顔で頷けてるかしら。
ちょっと自信が無い。
それじゃあ、と別れを告げようとした時、ズンズンとこちらに向かってくる男女が見えて、男性の方は背も高く顔も整っていてまるでモデルさんのようで、だからこそ無表情で大介くんを見ているのが怖いと思った。
「おいあんた」
「………え？」
大介くんの知り合い？
「あんた"さくま"さん？」
「蓮っ」
振り返った大介くんの表情は分からないけど、代わりに蓮と呼んだ女の人の表情はよく見えた。
今にも泣きそうな強ばった表情で私を一瞬だけ見て、そして大介くんを見て辛そうに唇を噛んだ彼女。
彼女は男性の腕を引いて、私たちの横をすり抜けて行く。
「あの、大介くん。今の人たち、」
「いいから」
「え？」
「君は知らなくていい。ほっといて」
背中越しでも伝わる。
彼が今、とても悲しんでいるって。
握った拳を震わせるほど、耐えてる事があるって。
そっか、彼女が大介くんにとっての……。
辛いね。
どうして上手くいかないんだろうなぁ。
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ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、ありがとうございます(o^^o) (2021年2月15日 6時) (
レス) id: e8b4c75977 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 楽しみにしてます☆ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様、ありがとうございます！素敵と言ってもらえてホッとしてます。終始不安なまま書いていたので。出ましたね(笑)キューピットさん。私も彼を必ず登場させる使命感に駆られてます(笑)残り2名も頑張りたいと思います！ (2021年2月10日 9時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさん、完結おめでとうございます。舘様、素敵でした！そして出たっ、キューピットふっかさん。やはり彼が出ないと(笑)残りの二名も楽しみにしてます！ (2021年2月10日 0時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» aya様、コメントありがとうございます。私の書く舘様大丈夫でしたか（汗）1度始めた連載は必ず終わらせるのが目標なので、このシリーズも必ず最後まで書こうと思ってます。期待してくださって嬉しいです。その期待を裏切らないように頑張ります！！ (2021年2月9日 21時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年12月8日 16時
