運命、偶然? ページ3
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お見合いは夜だから時間もあるし、友達を誘ってランチしようと出掛けることにした。
何かして気を紛らわせていないと落ち着かないから。
「今どきお見合いかぁ。お嬢様って憧れるけど、そういうのは窮屈だよね」
「ふふ、そうね」
大学の友人である京ちゃんは気さくでズバッと思ったことを口にする子。
"窮屈"。確かにその通りで、私はクスッと自嘲気味に笑う。
「その相手がイケメン王子様なら文句ないけど。だってA、彼氏がいるわけじゃないでしょ?」
カチャと珈琲の入ったカップの取手に指を差し入れ持ち上げる。
彼氏……
「居ないけど、」
「あ、もしかして好きな人居る?」
ガチャン…ッ!
「ひやっ!?」
「ああっ、大丈夫っ!?」
何気ない問いだったんだろうけど、それは私にとってはじゅうぶん動揺させる言葉だった。
膝に零れた珈琲を呆然と見てれば「なにやってんの!染みになるわよ!」と
。
「あ、」
お気に入りのワンピースなのに、拭くものは……と、ナフキンを手に取った。
「それじゃあ染み広がるよ」
「え?」
ゴシゴシと珈琲を拭いていたら、隣の男性に言われてビクッと手を止める。
パタンと本を閉じて立ち上がると、彼は「このハンカチ下に当ててくれるかな?」て、たぶんこれ彼の。
「いえあの、」
「ほら早くしないと。これミルク入ってるよね? 急がないと染みが落ちなくなるよ」
「あ、はいっ」
言われた通りハンカチを受け取ってワンピースの下に敷いたら、濡れたナフキンを持って「失礼」と私の前に屈んだ。
トントンと染みの上から叩いて、染みを裏に挟んだハンカチに移しているみたい。
男性なのに詳しいんだ。
私こういう事全く知らないから。
「はい。とりあえず応急処置だから、早くクリーニング出した方がいいよ」
「あ、ありがとうございます」
「うん」
ただ唖然と彼を見つめて、にこっと微笑んだその顔にドキッとした。
え、なんで?
『今度は迷子にならないようにね』
「ん?」
どうしたの?と、優しい眼差し。
とくん、とくん、
ずっと、ずっと止まったままだった私の心が動き出す予感がした。
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ゆきんこ(プロフ) - ふさん» ふ様、ありがとうございます(o^^o) (2021年2月15日 6時) (レス) id: e8b4c75977 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - 楽しみにしてます☆ (2021年2月14日 23時) (レス) id: 3ae47a3069 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - みぃ。さん» みぃ。様、ありがとうございます!素敵と言ってもらえてホッとしてます。終始不安なまま書いていたので。出ましたね(笑)キューピットさん。私も彼を必ず登場させる使命感に駆られてます(笑)残り2名も頑張りたいと思います! (2021年2月10日 9時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ。(プロフ) - ゆきんこさん、完結おめでとうございます。舘様、素敵でした!そして出たっ、キューピットふっかさん。やはり彼が出ないと(笑)残りの二名も楽しみにしてます! (2021年2月10日 0時) (レス) id: 59fd607722 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ayaさん» aya様、コメントありがとうございます。私の書く舘様大丈夫でしたか(汗)1度始めた連載は必ず終わらせるのが目標なので、このシリーズも必ず最後まで書こうと思ってます。期待してくださって嬉しいです。その期待を裏切らないように頑張ります!! (2021年2月9日 21時) (レス) id: 32279ed1b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年12月8日 16時