【刀剣乱舞】伊達の竜、蒼穹を舞え！壱【大倶利伽羅】

＃Dragon Fang...34 ページ36

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とびきりの笑顔である。
明るすぎて直視できないレベル、と言えば伝わるだろうか。

お前は天使か何かか…、と半ば呆れつつ、私は歩いて行く二人を見送った。

向こうもこちらに気づき、手を振り返して廊下の角に消える。


二人の手料理、か…。

人の身を受けて初めて口にする食べ物だ。
刀であった時では味わえなかったもの。

…楽しみである。


わくわくしながら部屋に引っ込んだ。






「こりゃ参った、もうこんな時間か...。はは、調子に乗ってつい遊び過ぎてしまったな」

「･･･俺たちも部屋に戻るぞ、蒼」

『え、うわ...！？ちょっ、首根っこを掴むな！首、閉まるから！』






鶴丸の溜め息に「そうだな」と頷こうとした矢先、
伽羅に思い切りジャージの襟を掴まれた。

そのまま、ズルズルと引きずられて＿＿＿。


は？何コレ。

私はアレか？
悪さして親猫に首根っこくわえられて、叱られに行く子猫か何かか？


いやいや笑えないなこの体勢…。






「あっ、待て伽羅坊、逃げるんじゃない！」

「俺は自分の部屋に戻るだけだ。それのどこがあんたから逃げている？用があるなら、"四六時中暇なあんたが"俺の部屋に来ればいいだろう」

「む…、言うな伽羅坊。よし分かった、じゃあ首洗って待ってろよ！」






襖から顔を出す鶴丸をよそに、しれっと返す伽羅。

その返し方に、微妙な毒が含まれていたのに気づけたのは、多分私だけだ。

…さては伽羅め、まだ負けたことを根に持ってるな？


まったく、器の小さい…。
そう、小さな溜め息をつくと。






「…何か言ったか」

『いえ別に』





私を引きずる足を止めぬまま、軽く睨まれた。
エスパーかこいつ…。

表面上は気づかれないように返したが、立派な冷や汗ものである。

こちらはほとんど座りながら運ばれているので、自然と伽羅を見上げる形になる。


牽制と挑発。


"何だよ、やんのか？"と視線で告げると、唐突に体が宙に浮いた。






『…は？』

「今日一日の分、色々倍返しだ」





……ん？
何言ってんだこいつ？

意味不明な呟きに首を傾げた、
＿＿＿刹那。


凄まじい衝撃が、全身を襲った。





『いッ…てェ！！おいコラ、いきなり何して＿＿＿！！』





したたかに打ち付けたのは、何とか腰だけで済んだ。

反射神経は良い方だ。
例え"背中から庭にぶん投げられた"としても、受け身くらいは取れる。


いきなり抱え上げて庭に投げるって、どういう頭してんだお前！？


瞬時に体勢を立て直して、今度は私が伽羅を睨む、…のだが。

そう簡単に、捕まえさせてはくれないらしい。



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