【刀剣乱舞】伊達の竜、蒼穹を舞え！壱【大倶利伽羅】

＃Dragon Fang...31 ページ33

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＿＿＿＿憂鬱だった。

今までが、人に囲まれ過ぎていた。
一人になった瞬間、まさかあれほどまでに動揺してしまうとは...。

昔々に負った傷は、自分が思っている以上に深く、大きいのかもしれない。


また、置いて行かれたら＿＿＿。


その思いが、頭を苛む。
...これからの生活、自分から一人になるのは極力避けるべきか...。

本人が言うのもおかしな話だが、戦場で仲間に置いてきぼりを食らった暁には、
何をしでかすか分からない気がする。

主にも、相談しておくか...。


溜め息と共に、大きな文字で"女"と書かれた暖簾をくぐった、その時。




『......あ』

「...ん」




隣の暖簾から出てきた伽羅と、見事に鉢合わせた。
まだ水滴が滴る赤みがかった茶髪を、無造作にタオルでふいている。

わお...、Nice timing?

＿＿＿いや、それはいいんだけど。





『........』

「........」





妙な沈黙が、二人の間を通って抜ける。

...気まずい.....。

ちらりと様子を窺うと、向こうもこの雰囲気を持て余しているようだった。


＿＿＿さっきの浴場での小さな雷撃、こいつは聞いていたのだろうか。
そもそもの話、私はこの前に、キレた勢いでこの倶利伽羅竜に雷をぶっ放した挙げ句、一切の手加減無しで腹部に拳をお見舞いしているのである。

いくら伽羅が悪かったにしても、ちょっとやり過ぎたかな...という自覚は、一応ある。


さぁ、この場をどう切り抜けるか。


考え始めたところで、唐突に伽羅が口を開いた。





「さっきは言い過ぎた。悪かったな、蒼」

『...へ』





思わず、変な声が出た。
いきなりを何を言い出すかと思えば、こいつは＿＿＿。

..........。

...これは、果たして。

何事、なんだろうか。





『すまない聞こえなかった、もう一度頼む』

「...だから、さっきは悪かったと...。おい待て何だその顔は。俺が謝るのがそんなに意外か？」





不服そうに、口を結ぶ。

今、目の前にいる不器用男はこう言った。

"悪かったな"と。

つまり、...何だろう。


今伽羅は、本人がそう言った通り、私に対して謝った、...のだろうか。

＿＿＿あの、大倶利伽羅が？

驚きを通り越して、素直に感動した。






『伽羅...。お前ってヤツは、どんだけ人とコミュニケーションを取るのが苦手なんだ...！』

「は？」

『いいよいいよ、どうせ主に"謝っとけ"とか言われたんだろうけど、それにちゃんと従った素直さに免じて、今回はずんだ餅没収は無しにしてやるから！』

(見抜かれてる...)






ぎくりと肩を揺らす大倶利伽羅であった＿＿＿。



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