【刀剣乱舞】伊達の竜、蒼穹を舞え！壱【大倶利伽羅】

＃Dragon Fang...21 ページ23

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『練度ろくに上がってない女士に"潰す"か...、それ結構酷いよな。
だがしかしだ、その言葉、そっくりそのまま返してやるよ』

「...お前に出来るか」

『たかが打刀一振りに負ける太刀二振りがいるか、バーカ』

「...どうなっても知らんぞ、俺は」




そうやって啖呵切ったら、軽く伽羅がキレた。

ふむふむ、やはり。
何だかんだで挑発にはちゃっかり乗ってしまうタイプの男だ、こいつは。

で、本人はそれにまったく気づかない。

扱いやすいヤツとは、まさに大倶利伽羅の事を言う。


...結果。

互いに視線の間で火花を散らしながら、廊下を歩いて行くことになったのはご愛敬である。




「あっ、大倶利伽羅ー、あんたらそこのスペース使ってねー」

「...分かった」

『......』

「はいはい、新入りだね。大倶利伽羅は結構強いよ、頑張って！」




まだ正式には自己紹介してないので、会釈で済ました。

赤い瞳に、爪紅をつけた刀剣男士、と言えば伝わるだろうか？
その男士が示した方へ、足を進める。

...初対面の人に「頑張って！」か...。

多分、良い人だ。


後でちゃんと自己紹介しなくちゃな...。
この本丸には、どんな刀がいるのだろうか。


＿＿＿＿そればかり考えていて油断したのは、完璧に私の落ち度。

立て続けに、急に竹刀を二振り投げて寄越されたら、まぁ驚くよな。


驚いたが、そりゃキャッチくらいはお手の物だ。

慌てて空中の竹刀を掴み、向こうで涼しい顔をしているヤツに文句を言ってやった。




『何すんだよ！いきなり投げるな！びっくりするだろ！』

「...そらー、受け取れよー」

『ワンテンポ遅い！あと棒読み具合をどうにかしてくれ！』




ボケてるのか何なのか、分かりづらいのもまた伽羅である。

そこに突っ込むのも、確かに私も楽しんでいるのだが。




「あとの人達も待ってるから、さっさと始めちゃってねー！」

『...だとさ、伽羅』

「言われなくとも分かっている。...さっきの言葉、終わった頃に後悔しても遅いからな」

『お前は私の台詞を根こそぎ取って行くな...、そっくりそのままお返しするよ』




ピ...ン、と。
場の空気が、一気に張り詰める。

無造作に構えを取る伽羅。

一方の私は、...正直迷っていた。


両手に持った竹刀二振りを、初っ端から振り回すべきか。
それとも、面白くなってきた所で左を抜くか。


少しだけ、考える。



そして、決めた。




『まずは体慣らしに一刀流から行くとするか。...抜かせてみな、私に、二振り目を！！』

「...行くぞ」




＿＿＿＿ダンッ！！と床を蹴る音が響いた。




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