仕事が恋人.中原中也 ページ12
私の彼氏、中原中也さんは、
如何やら仕事が恋人の様です。
口を開けば、書類、仕事、会合。
ええ、だから驚く事等何もありません。
「_____いや普通に考えておかしいでしょ!?」
ソファの上で、ぺしん、と自分の太股を叩く。
現在は休日の真昼間。そう、稀な休日の真昼間。
……何で私は一人で恋人への文句を垂れているんだ?
勿論、昨晩彼に電話は掛けた。
期待に胸を踊らせながら、「明日、…何処か行かな、い?」なんてお誘いの言葉を口にしたと云うのに。
「あ、悪ィ、一寸」
と云われ、そのまま無慈悲にも電話は切れた。
その時の私の顔は、
多分かつてない程歪んでいただろう。
「…っ、休日くらい一緒に居たって良い、よね」
漏れた本音が、震えに震えていた。
ツキリと胸の奥が冷えて痛くなる。
俯いて、強く強く目尻を抑える。
「ぅ…、……ぅっ…」
…駄目だ、堪え切れそうにない。
身体を丸め込ませて、暫く嗚咽を漏らした。
・
・
「……ん、…」
小さく頭が痛んで、目が覚めた。
嗚呼、知らず知らずのうちに寝ちゃってたんだ…。
ふと、自分の状態を確認すると、
「…あれ、何で」と驚きに言葉が零れる。
「________A、起きたのか?」
______嘘、そんな。
「おい、A?聞いて……ッて、
な、何で手前泣いて…!」
______そんな、夢でも見てるの?
堪え切れずに、自然と涙が一粒頬を伝う。
私の身体には、暖かい毛布が掛けられていた。
その毛布はとても大きくて、大きくて___
_____中也も一緒に毛布の中にくるまっていた。
「…っ、本物、」
「莫迦云え。本物に決まってンだろ」
「仕事が恋人の中原中也さん?」
「……」
確かめるように腕を伸ばし、悪戯に問うてみると、目元の涙を荒っぽく拭われ、
「……Aが恋人の中原中也さん、だろ。
……云わせンな」
真っ直ぐ瞳を見ながら、そう、云われた。
窓から差し込む夕焼けに照らされる彼は、
言葉が見当たらない程格好良くて、胸が苦しくなる。
「……会いたかった、」
「悪ィな、仕事が……」
「…もー、そういうの良…っん、…!?」
おちょくろうとした私の言葉を、強引に塞ぐ中也。
グッと後頭部を引き寄せられて、身体が熱くなる。
「…ちゅ、ぅや」
「手前は、
噴火した様に熱くなった顔を隠す為、
「…五月蝿い」と彼に抱きついた。
……
次話はリクエストです。
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落蕾 - すみません、この作品の【1】の方はパスワードを解除しないと読めなくて、ピロウ様はパスワードを表示して下さっているのですが、私の端末ではパスワードが見えないんです。どなたか、【1】のパスワードを教えて頂けないでしょうか? (7月24日 23時) (レス) id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
水希アカリ - リクエストです。ビタースウィートという曲っぽくってお願い出来ますか?エンドは、太宰さんで。昔、曲イメージは難しいと言っていましたが、元々ストーリー仕立てなので、作りやすいと思います。 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 861eb5fa10 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - ちーちゃんloveさん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません。入れ替わりとは身体が入れ替わる 君の○は。の様な感じでよろしいでしょうか?よろしければお答え頂きたいです。 (2019年6月14日 17時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - リンゴ雨さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません。ご丁寧にありがとうございます。ぶどうといか さんでよろしいでしょうか?リクエスト承りました、暫しお待ち頂けますと幸いです。 (2019年6月14日 17時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ雨(プロフ) - ピロウさん» ごめんなさい。名前変えてます。ちゃんと本人です (2019年5月23日 17時) (レス) id: 14f2f052aa (このIDを非表示/違反報告)
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