欲しいモノ.太宰治 (リクエスト) ページ11
太宰視点でお送り致します
……
無意識に視線が彼女を追い掛ける。
机に散らばる手付かずの書類の事も、何もかもが頭の中から抜け落ちる。
私はずっと、彼女を見ていた。
「あの、太宰さん、珈琲置いておきますね?」
「…嗚呼、」
抱きしめて、あわよくば愛を囁きたい。
そんな欲望が渦巻き、ごくりと喉を鳴らした。
「…綺麗な色ですね」
「………何がかな?」
「太宰さんの、瞳の、色」
唐突に発せられた彼女の言葉に、
私の思考が一瞬ピキリと凍りつく。
_____何時もこの瞳で、君の事を見ているのに?
恋人がいる君の事を目で追い掛けて、
欲望を募らせているのに、そんな私の瞳が綺麗?
「…良いのかい?
他に彼氏が居るのにそんな事を云って。」
…私は、Aの事を壊したくなかった。
だから、距離を取って接する事にしていた。
・
・
静寂に包まれる真夜中。
漸く終わった書類仕事に溜息を吐きながら、
エレベーターのある方へ足を運んでいた。
「…ッぅ」
刹那、微かな呻き声が奥の方から聞こえた。
……嫌でも分かる、Aの声だ。歩く速度を速めた。
「……A…っ?」
「…ひっ」
エレベーターの扉が中途半端に開いていた。
真っ暗闇の中に居たのは、蹲るAだった。
故障か何かでエレベーターが動かなくなり、
閉じ込められてしまったのだろう。
「…嗚呼、可哀想に、今助けてあげ_____
「_______ちゅ、うや…、助けて…」
扉の隙間に伸ばした腕が、止まった。
彼女は確かに呼んだ。_____恋人、中也の名前を。
「……そう、かい」
如何せ叶わない恋なら、誰も居ないこの空間で。
Aを私のモノにしてしまおうか。
「助けて」と鼓膜を揺らす小さな声と、
頭を回る思考。
……欲しいよ、私は、Aが、欲しい。
この手に、あの、柔らかな体温が、欲しい。
「______ッ、おりゃァッ!」
突如響いた男の声。
エレベーターの壁が壊れる様な轟音。
「…ッ、A、大丈夫か…ッ!」
「中也、…っ!……っ、あ、太宰、さ」
「…行くぞ、」
中也に肩を抱かれながら私の横をすり抜けるA。
…嗚呼、そんな姿さえも美しいよ。
いっそ今死んでしまえたら、楽なのかな。
「…っ、はは」
彼女が綺麗と云ってくれた瞳からは、
塩っぱい液体が、一粒零れた。
……
夜行猫様、リクエストありがとうございました!
このような感じでよろしかったでしょうか…?
仕事が恋人.中原中也→←こっち向け.中原中也 (リクエスト)
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落蕾 - すみません、この作品の【1】の方はパスワードを解除しないと読めなくて、ピロウ様はパスワードを表示して下さっているのですが、私の端末ではパスワードが見えないんです。どなたか、【1】のパスワードを教えて頂けないでしょうか? (7月24日 23時) (レス) id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
水希アカリ - リクエストです。ビタースウィートという曲っぽくってお願い出来ますか?エンドは、太宰さんで。昔、曲イメージは難しいと言っていましたが、元々ストーリー仕立てなので、作りやすいと思います。 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 861eb5fa10 (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - ちーちゃんloveさん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません。入れ替わりとは身体が入れ替わる 君の○は。の様な感じでよろしいでしょうか?よろしければお答え頂きたいです。 (2019年6月14日 17時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
ピロウ(プロフ) - リンゴ雨さん» 返信が遅れてしまい申し訳ございません。ご丁寧にありがとうございます。ぶどうといか さんでよろしいでしょうか?リクエスト承りました、暫しお待ち頂けますと幸いです。 (2019年6月14日 17時) (レス) id: aafbc19e8e (このIDを非表示/違反報告)
リンゴ雨(プロフ) - ピロウさん» ごめんなさい。名前変えてます。ちゃんと本人です (2019年5月23日 17時) (レス) id: 14f2f052aa (このIDを非表示/違反報告)
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