2話 ページ2
Aside
私は親を憎めたことがない。
テレビドラマであるような親への復讐、
そんなものは私と別の世界にあるようで。
親と言えば、<憎い>より先に<怖い>が浮かんでしまう。
私が物心ついた時には、両親共にギャンブル・酒・煙草に溺れていた。
そんな2人にとって子供という存在は邪魔でしかなかったのだろう。
ある時、両親が私の特殊な力に気がついた。
そう、治癒能力だ。
そんなものが無ければ良かったのかもしれない。
それに気づいてからというもの、両親の中から容赦というものが無くなった。
両親はたまに物凄く大きな怪我を負ってくることがあった。
そんな時はいつもより激しく私を甚振った。
時々考える事がある。そのまま怪我を治さなければ
私はもう傷つかなくてもいいんじゃないかと。
でも、親を目の前にした途端、従わなければならない、その考えにしか頭が回らなくなる。
今もそう
「ゴホッカハッ 何を ッやってる゛はやく治せッ 」
はやくはやくしないとはやく治さないとまた…
怖いこれ以上近づくのは怖い。痛い。痛い。
でも、私の体は止まらない。止まってはならない。
決して怖いものは銃を向けている男達ではない。
そんなものはどうでもいい位に、親が怖かった。
「まだ、生きてやがったか… やれ」
前からそう聞こえてきた。
銃声が目の前から聞こえ、私の方へ伸びていた手は床に音をたててついた。
再び私の方へ視線と銃が向けられた。
その時だった。私の胸の奥にあった重りのような何かがなくなったように感じた。
息苦しさも消え、初めて私は生きていると感じた気がした。
なんだこんなに単純なものだったのか。同時に呆気なさも感じた。
死ぬ前とはいえ何にも縛られていない。自分が自由である事を実感できた。
不謹慎なことを言っているのかもしれないが私の素直な気持ちだった。
「ありがとうございます… 」
私は目の前の男性をじっと見つめ殺されるのを待った。
驚いているようだった。
しかし、目の前の男性だけはにやりと笑を浮かべ
私に一歩近づいた。
私はその動きに違和感を覚えた。
私に近づくということもそうだが、何処かを庇うような歩き方だった気がする。
手袋と袖の間に白い包帯らしきものが見えた。
どうせ死ぬんだから、最期にくらい自己満足の為に使ってもいいよね?
「すみません… 」
私はそう一言いい、目の前の男性の手に触れ異能を使った。
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あすまろ(プロフ) - すごい!この小説の続き、書けたらで良いんですけど、待っています!あと、聞きたいことがあるんですが、RINGOさんのふぁみりでしょうか?ごめんなさい、変な質問で。 (2022年3月30日 19時) (レス) @page4 id: 7b1e8d11d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蒼也 | 作成日時:2017年10月11日 21時