神さまと太陽【吉良ヒロト】 (ページ5)

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＊.04.聞きたい事ページ5

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『タツヤが私を呼び出すなんて、珍しいね』

「どんな用？」と年に見合わない大人びた笑顔で笑うA。Aには前々から聞きたいことがあったから、俺の部屋に来てもらったんだ。

「＿＿＿Aはヒロトとどういった経路で仲がいいんだ？」

『どういった経路って？』

「俺たちと同じでおひさま園にずっといたAは、ヒロトのいる本館には出向くことはなかったはずだ。
だけどAはヒロトとおひさま園の中の誰よりも仲がいい……」

『つまり？』

「君はどうやってヒロトと関わりを持ったんだ」

俺がそう言うと鋭い線を行ったのかAの顔が困った顔に変わる。彼女がヒロトと仲良くなるためには、おひさま園を抜け出してヒロトのいる本館へ向かわないといけないはず。俺がヒロトに会いに行った時はいつもいなかったAが、あんな親しげにヒロトと話せるわけがない。

『タツヤだって、小さい頃ヒロトとお話しした事何度もあるでしょ？その時に仲良くなったんだよ』

「そんなわけ……！」

『しー』

反論しようとすると、Aは俺の口元に人差し指を向け静かにというポーズを取る。

「ふざけてるの？」

『ふざけてなんかないよ、タツヤ。ただ、人には聞かれたくない過去の一つや二つはあるんだよ？タツヤはない？聞かれたくない過去』

「……過去なんて、父さんとおひさま園のみんなに比べれば安い者さ」

『確かにおひさま園のみんなも父さんも大切。でも、私にとっては過去も大切』

「捨てられた悲しい過去が？」

『そうじゃないよ。楽しい過去だってある』

「……そんなの、俺“ たち ”にはない」

聞きたいことがあったはずなのになぜか自分が情けなくなって、結局そのまま部屋を去ってしまった。

「( 本当は、振り向いて欲しいから…なんて。きっと彼女は気づいてくれないんだろうけど )」

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