イエス〜歌広場淳ver.〜

宣戦布告？ ページ4

でも、そんな願いは、突然脆く崩れてしまう。



研「なー淳くん、一緒に帰らん？」

その日はAが友達との約束のために先に帰っていた。

淳「いーよー。あ、新しく出来たクレープ屋さん行きたいんだけど！」
研「はいよー」

その時は、一緒に行く相手が見つかって良かったなー程度にしか思ってなかった。








淳「ん〜っ！美味しい〜っ！！」
研「やねえ〜」
淳「あ、今度Aも連れてこよっと♪喜ぶだろうなー」
研「……」

ピタッと研二が立ち止まった。

淳「どうしたの研二っち？」
研「……あのさ、淳くん」

僕を見る研二っちの目が、今までに見たことがないくらいに真剣で。
思わず息をのんだ。

研「Aちゃんと付き合ってる訳じゃあないとね？」

なんでA……？
嫌な予感がする。

淳「…うん」
研「俺さ、本気でAちゃんのこと好いとーよ」

時間が止まったように感じられた。
今、何て言った？
研二っちが、Aを、好き……？

研「淳くんはどうなの？」
淳「…え……」

僕は……
好きだよ、ずっとずっと前から。
でも言葉が詰まって出てこない。

淳「……っ」
研「ずるいばい、淳くんは。そうやっていつも逃げてさ。俺がどんな気持ちで毎朝笑ってたか分かる？」

ぐるぐると研二っちの声が頭の中で渦巻いて、何も考えられない。

研「淳くんがそういう風に逃げてるなら、俺、もう遠慮しないから。
……それだけ言いたくて。じゃあね」



研二っちがその場を去った後も、僕はしばらく立ち尽くしていた。

大好きなクレープが手から落ちていることにさえ気付かずに。

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