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剛典くんをリビングに座らせると、コーヒーを淹れる
その間に出来るだけ心を落ち着かせる
「どうぞ」
『ありがと』
少し剛典くんと離れて座ったのに、すぐに私の横に来て私の手を握る
『こっち向いて』
『A何があったの。俺に言えないこと?』
剛典くんの方に少しだけ体を向ける
「あのね。剛典くん秘書課の春山さんって人知ってる?」
『春山?あー知ってるよ。あいつがどうしたの。あいつになんか言われた?』
剛典くんの目を見てみるけど動揺してる様子はない
「昨日話した同期の隆二がね、朝エレベーターの中で春山さんが剛典くんと食事の約束をしたって話してるのを聞いたって。教えてくれて・・。ほんと?」
剛典くんが大きくため息をつく
『そうきたか・・・ずとあいつになぜか言い寄られちゃって。一度も食事なんか行ってないけどそうやって変な噂流してるみたいなんだよね。俺と付き合えそうとか言ってみたり。ほんとうんざりしてるんだ』
『Aには変な心配かけたくなかったから言ってなかったんだけど、逆に言っておけばよかったね。本当にごめん。俺はあいつのこと本当になにも思ってないし、実際連絡先も教えてないから』
「じゃあ食事にはいかないんだね」
『行くわけないよ』
ゆっくり諭すように話してくれる剛典くん。
安心して鼻の奥がツーンとする。
疑ってた自分も恥ずかしくて、でも嬉しくてうんうんと首を縦に振る
『それで、Aは不安になってこんなに目腫れるくらい泣いてたの?』
「うん・・・」
剛典くんは私の腫れた瞼を指でなぞる
『Aはさ、俺に付き合ってもらってるとか思ってない?』
『言っとくけど先に好きになったのは俺だよ。俺がアプローチしたの。誓って軽い気持ちで声かけたわけじゃないし、絶対に浮気なんかしない』
それに・・・と言って剛典くんは私のシャツのボタンを外しはじめる
『2股かけたりするつもりだったらこんなの付けないよ』
昨日つけた跡を指でゆっくりとなぞる
そうだった。
なんでそういう剛典くんの愛情のこもった一つ一つの言動を思い出せなかったんだろう
自信がないというだけで疑って、勝手に泣いて・・・ほんとのほんとに大馬鹿野郎だ
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作者名:Kirari | 作成日時:2015年10月20日 13時