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着いたのはまたオシャレなイタリアンのお店
「剛典くんって本当に素敵なお店ばっかり知ってるよね」
『だって1週間口コミ見て調べましたもん!Aさんと美味しいもの食べたいじゃないですか』
「ほんと、ありがとうね」
もうそろそろ彼の甘い言葉にも慣れてきた気がする
あの事聞かなきゃ・・
スタッフさんに注文をしてから心の中で3つ数えて口を開く
「あのね、剛典くん。一つ聞きたいことがあるんだけどいい?」
『はい、どうぞ』
「剛典くんはその・・私のどこを気になってくれたのかずっと聞きたくて。私なんて普通すぎるぐらい普通のOLだし。きれいでも可愛くもないしどうしてかなって」
意を決して聞いた
本当はからかってただけですなんて言われたらどうしようかと思いながらドキドキして聞いた
『3か月前に創立40周年記念パーティーがあったでしょ』
確かにあった。私は裏方として働いてたからパーティーの最中はあまり会場をよく見れてなかったけど全社員が参加してたはずだから剛典くんもいたんだろう
『あの時、つまんねーなーと思いながらテキパキと動いてる人たちを見てたんですよ。俺、後ろの方の席だったから。そしたらその中にAさんがいたんです。すごい忙しそうに動き回ってて、真剣な顔して働いてた』
「うん」
『その時はきれいな人だなこんな人うちにいたかなくらいだったけど、パーティーが終わってから廊下で少し泣いてませんでした?なんかかっこよく働くAさんの働く顔と泣き顔どっちも見ちゃったら惹かれてもっと知りたくなっちゃって。それからですAさんのこと目で追うようになったのは』
びっくりした
確かに私はパーティーのあと、小さなミスを上司にすごくキツく注意されて悔しくて自分の中で処理しきれず一人で泣いたんだった。
後日ミスはミスだと消化できたんだけど
誰にも見られないように泣いたつもりだったのにな・・・見られてたなんて
それよりも仕事はけっこう好きで、頑張って、でも評価されないことも多い。
それでも手を抜くのは嫌でいつもできる限りの力で仕事には取り組んできた
ある意味意地で、それは自分のためだけだったかもしれない
そんな私を一人でも見ててくれる人がいたんだと思うと本当にうれしかった
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作者名:Kirari | 作成日時:2015年10月20日 13時