赤のだるまと桃のさくら

#１７ ページ18

・







・







・







今日は10月18日。




私は今東京駅に居ます。







ひとつだけ分かること、それは


めちゃめちゃに人が多い、ってこと。








discordの通知が1つ、だるくんから。









『今どこら辺におる？』









その言葉で現実味が増して顔が赤く染まる。





少し肌寒くなってきたせいだろうか


恋人たちが駅で触れ合っている様子が見えた






だるくんに会いたい、と思った。








そう思った時にスマホが振動するのを感じ


画面を見ると『だるまいずごっど』の文字が見えた。










「も、もしもし」



だるま「あ、さくら？今着いたんやけどさ」



「…はいっ」



だるま「いや緊張し過ぎやろどうしたん？w」



「そりゃ、緊張、します」



だるま「はは、そりゃそうよな。俺も」









今同じ場所に居るだけで嬉しい、と


駅のアナウンスに被るように声が聞こえた。






胸がきゅぅ、と締め付けられるのを感じて



上手く呼吸が出来なくなっていく。






あぁ、もう虜になってしまっている。










「どんな、服着てるとか、あるの？」



だるま「んー、いい感じの服着とるなw」



「いや分からんw」



だるま「…スマホの、色って何色？」



「スマホ？…えと」










スマホそういえばどんなだったっけ、と


スマホから一瞬耳を離す。







『見つけた』なんて彼の声なんて聞こえなくて。







色が分かったのでスマホから顔をあげると



目の前に端正な顔立ちの男の人が立っていた。









「…へっ」



だるま「こんにちは、さくらさん」



「だっ、だる、くん？」



だるま「そうやでー！めちゃめちゃ可愛いやんけ！」







通行人にジロジロ変な目で見られるなんてお構い無しに


頭を撫でてきただるくん。





可愛い、そう言われただけで嬉しくて顔が赤く染まる。




好きな人が素敵過ぎて余裕なんてある訳なくて。









だるま「…顔真っ赤やで、意識しとる？w」



「…して、る」



だるま「…す、素直、やな」









顔を背けられたと思えば、耳が真っ赤な彼。




私と同じ気持ちだと浮かれてしまう


可愛くて緊張が少し解れていく。









だるま「てかCR入るならまず俺に言えよ！」



「おじさんに内緒にしろって言われたの！」



だるま「あのおじじ…マジで許さねえ」



「ま、まぁまぁ」



だるま「…そんじゃ、行きますか？」







初めて、彼に手を引かれた。

#１８→←#１６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す