00 だるだる系モブ少女A ページ1
「ずっと前から好きでした、付き合ってください！」
「私も、前から気になってて……。こちらこそ、よろしくお願いしますッ！」
初夏の夕暮れ、テンプレもテンプレな告白現場に遭遇した。厳密にいうと、遭遇というか私は帰宅のために然るべき道を通ってきていただけなのだけども。
まさかのまさかだ。裏門から出たほうが早いのでその道を通っていただけだというのに。
「不運だ……」
声が聞こえたから立ち止まってしまい盗み聞いたような構図になっている。断じて違う。私は空気を読んだまでである。
とてもじゃないが足を進めて裏門への道へ出ていけるような雰囲気ではない。ジーザス！
そんなことができるのはとんだ暴君でしかない。
私はしがないモブだ。そう、脇役。モブであることにとくに誇りもないが、嫌だと思ったこともない。
平凡に、穏便に、静かにくらせればそれでいい。そこに諭吉があるならなおのこと。
晴れてカップルになった二人は立ち去ってくれそうもなく。
「え、いや、めんど……」
幸せの絶頂なのはわかる。うん、わかる。だけども。
大変気まずい思いをしているモブがここにいるのですが……
私がいったい何をしたというのか。今日は不運だ。
裏門へ出ることをあきらめ、つま先を元来た方向へ向ける。その足取りは大変重い。
これは、
どこにでもいそうな平凡なスペックの女子高生のお話である。
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だるだる系モブ少女A 始動
(あのカップル、まじ私に感謝しろよ？？)
(モブへの救済処置を所望する……)
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作者名：きびもち | 作成日時：2020年11月19日 22時
