―…貴方が好きでした～愛と嫉妬の四重奏～ (ページ2)

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前世１４３ページ2

タトはそんなに悪い人ではなかった

気は聞くし、話が尽きることが無いのはいつもタトから話しかけてきてくれていたからだ

教養もあって礼儀もいい……けれど、リヒトより上を行くことは無かった。

きっとリヒトと出会っていなかったら、私は本当にタトと付き合っていただろう

『俺の父が何か余計な事を言ったみたいですまない』

『結婚のお話ですか?』

『あぁ』

『ﾌﾌｯいえ、親というものは子供を気に掛けるものです。気にしてませんよ』

『……でも、俺のこの気持ちは本当です』

『タト様…』

その後私はタト自信から直接プロポーズをされるも、「ごめんなさい」と丁寧にお断りした

その時の彼は悲しそうに笑っていたけれど、「今後とも我が国との交流を続けてくださいますか?」と言ったので「もちろんです」と返し、それ以降会う回数は格段に減った

タトと過ごす時間が多くなったことで、リオレオン国では私とタトが婚約するといううわさが広がり、リヒトの耳にも入っていたらしい

私がタトと会うことでリヒトと会う時間も減った

そのこともあり、初めは信じていなかったリヒトも徐々に本当にそうなんではないかと信じはじめていたらしい。

タトと会うことが無くなった時間をリヒトに当てたく、例の酒場にいくとベロベロに酔っぱらったリヒトとそれを介抱するツルマ、そして一人でも酒を楽しむカイのトリオがいた

私の存在に気付いたマスターやツルマ達がアタフタし始める

けれど当のリヒトは気づいていない……無理やりにでも連れて帰ろうという気持ちが芽生えた

酔っぱらいのリヒトをツルマが支え王宮の私の寝室へと運ぶ

『僕がついていながらここまで飲ませてしまってすみません…ｯ』

『気にしないで?ここまで飲む原因になったのは私なんでしょう??』

『うっそ、それは…』

『ﾌﾌｯいいのよ、ここまで運んでくれてありがとね』

『いっいえ!!ではっ』

二人気になった寝室、こんなこと前じゃ当たり前だったのに…

『不思議ね、今とてもドキドキしてる』

二人だけの時間が久しぶり過ぎて、嬉しい気持ち反面ドキドキもしていた

『! きゃっ』

突然リヒトによってベットに組み敷かれた

『なぁ…タト様とはどうなったんだよ』

『ぇっ』

『結婚…すんの…かよ』

不安だと言わんばかりの目

(ずっと不安にさせてたのね…ごめんなさい)

心で謝り

『しないわ、私には貴方だけよ』

リヒトの口に自らキスをした