ナイモノネダリ＜M.Hokuto＞ (ページ3)

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――数年前――

no side

「…あ、ほく！！」

北斗「なにお嬢さん。」

「その呼び方やめてよ。」

北斗の家。

２人はお家デートで、北斗の家に訪れていた。

もう時刻は深夜が近い。

２人とも北斗の部屋でゴロゴロとしていたときだった。

Aは北斗の本棚を何気なく眺めていると、ある本が目に入った。

「これ。いつも学校で読んでない？」

北斗「…あ～確かに。読んでるね。」

「すっごい気になってたんだよね。いつもなに読んでるんだろうって。」

北斗「そんなに気になるなら貸してあげるよ。」

「私、３ページ目くらいで寝るかも。」

北斗「確かにAなら、そんな気がするｗｗ」

北斗は、Aから本を受け取るとカバーを外して、表紙を見せる。

「…真っ黒。あんま見たことない。」

北斗「俺も。中身も面白いけど、表紙にも惹かれたんだよね。白いインクで絵をかくのもすごいオシャレじゃない？」

「確かに。めっちゃオシャレ！！…ちなみに、これどういう話なの？」

北斗「簡単に言えば、純粋なラブストーリーかな。主人公と恋人が、最初は一緒に仲良く過ごしてたんだけど、恋人がいろんな理由で遠い場所に行っちゃうの。」

「えぇ…」

北斗「それで、主人公と恋人はそれっきり会えなくなっちゃうんだ。」

「え、…もしかして、それオチ？」

北斗「うん。オチｗｗ」

「も～！！なんでいうの！！…まあ、私ネタバレ気にしない人だけど。」

北斗「なんだよそれｗｗｗ」

「え？でも、それって物語として成立するの？」

北斗「成立してるから、こうやって本になってるんでしょ。…まあ、かなり難しいんだよね。２人とも、お互いのことを想っているんだけど、お互いのためを思ってお互いを忘れたことにする、みたいな。」

「…うーん？」

北斗「…ま、Aにはまだ難しいな」

「子ども扱いしないで！！」

北斗「はいはいｗｗ…じゃ、そろそろ寝る？」

「…うん。寝る。」

北斗の言葉にAは頷き、北斗は自分のベッドに座りAを手招きする。

北斗「おいで。」

「…うん！」

Aは北斗に抱きつき、そのまま２人はベッドに横たわる。

北斗は、Aを抱きしめて耳元で囁く。

北斗「…おやすみ、大好きA」

「おやすみ北斗。私も、大好き」

その言葉を聞くと、北斗は満足そうにAのおでこに口づけをした。