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「……うん。知ってる。」
私は、微笑んで見せた。
北斗は、驚いたような顔をする。
北斗「え、なんで……？」
「……北斗の左手の薬指。」
私の言葉に、北斗は自分の左手の薬指を見る。
そこには、真新しいシルバーの指輪がはめてあった。
それは、なにを意味するのか。
考えなくてもわかる。
北斗「……よく、気が付いたね。」
「……北斗、知ってた？女の人ってね、そういうのに敏感なんだよ。女の人って鋭いから。」
私は笑って見せる。
北斗「……そっか。」
北斗「……俺、別れてもずっとAのことが心のどこかにいた。ふとした時に、Aの笑顔が浮かんでくるんだ。……そういうのが、今でもある。」
「……うん。」
北斗「婚約した人とは、一緒にいてすごく楽しいんだ。常に笑顔でいられる。……でも、たまにAの笑顔が心に浮かんでくるとき。本当に辛い。」
「……」
北斗「だから、Aと会ってちゃんと伝えなきゃと思った。……俺、本当にAに出会えてよかった。Aと出会えたから、今の俺があると思うんだ。……だから、ありがとう。」
北斗はそう言った。
……ああ、そっか。
私は、ようやく自分の気持ちがわかった気がした。
「……ねぇ北斗。」
北斗「……ん？なに？」
私は、心からの笑顔で言った。
「……付き合ってたとき、黒い表紙の本の話したの、覚えてる？」
北斗「……あぁ。覚えてるよ。俺が読んでた本の話だよね。」
私は頷く。
「……高校生のとき、その本の内容が本当にわからなかったんだ。好き同士なら、一緒にいればいいのにって。なんでわざわざ離れちゃうんだろうって。……でも、今なら、分かる気がする。」
北斗「……A……」
「私ね、北斗のこと好きだったよ。たぶん、生涯忘れられない人だと思う。いつかのデートした日を思い出して、泣いちゃう日が来るかもしれない。」
「……でも。でもね、北斗。私もね恋人がいるんだ。とても優しくて無邪気で素敵な人だよ。……でも私は、私の恋人と北斗を比べたくない。だって、もう北斗は昔の恋人。昔の、過去の、素敵な恋人だから。」
北斗「……うん。」
北斗は、泣きそうな顔で頷いた。
「私たちの関係はもう終わった。これからは、遠く離れたお互いのためを思って、生きていこうよ。お互いの幸せを願って。」
北斗「……そうだな。」
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みう(プロフ) - 最高でした！ (2023年3月22日 21時) (
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年2月2日 23時
