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no side
――夕焼けのオレンジ色に染まる校舎。
すでに生徒たちは、家に帰り夕焼けに染まる教室はがらんとしていた。
北斗「……」
そのがらんとした教室の一番隅っこの席に座る男子生徒――松村北斗は黒縁メガネをかけて無言で本を読んでいた。
誰もいない教室に、ただ、北斗の呼吸する音と北斗が本のページをめくる音だけが響く。
…と。
廊下を、誰かが走るような音がした。
その音は、どんどん教室へ近づいてくる。
ふと、教室の扉の前でその音は止まる。
しばらくして、ガラッと扉が開く音がした。
そこに立っていたのは、肩で荒い息をする女子生徒――高橋Aだった。
「…北斗！！お待たせ！！」
その声に、北斗はゆっくり顔をあげる。
そして、つけていた黒縁メガネをとって、Aに向かって微笑みを浮かべた。
北斗「お帰り。ずいぶん遅かったね。」
「ごめんね。先生のお話が思ったよりも長くなって。もうすっかり夕方になっちゃった。北斗も、待たせてごめんね。」
北斗「いいよ。お陰で、読みたかった本がかなり読み進められたし。」
北斗は、笑顔で言う。
荷物をまとめ、２人は廊下に出る。
「ホント、北斗は優しいね。」
北斗「褒めてもなにもでないよ」
「本心言っただけだよ。」
北斗「…はいはい、//」
北斗は、Aの言葉に照れたようにそっぽを向く。
北斗「……はい、」
北斗はAに向かって、右手を差し出す。
「……？」
北斗「……お嬢さん、ホント鈍感だね」
北斗は呆れたように、でもどこか愛おしそうに微笑むとAの左手と自分の右手の指をしっかりと絡ませた。
「！？…//」
北斗「…帰ろっか。」
「…うん！！」
Aはニッコリと北斗に向かって笑顔を見せた。
誰もいない廊下を、２人と２人の影だけが歩いていく。
北斗「今度デートにでも行く？」
「行く！！」
北斗「よし。じゃ、今週末にでもどう？」
「うん！楽しみ！！」
「…わざわざ、送ってもらってごめんね。」
北斗「いいの。俺が送りたくて送ってるんだから。」
Aの家の前。
２人はようやく手を離すと、お互いの目を見つめる。
北斗「…じゃあ。また明日ね、A。」
「うん。またね、北斗。おやすみ」
北斗「うん。おやすみ」
Aは先に家に入る。
北斗は、その後ろ姿を愛おしげに見つめると自分の家路へと歩き出した。
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みう(プロフ) - 最高でした！ (2023年3月22日 21時) (
レス) @page20 id: 09230ab844 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すのうHIINA | 作成日時：2023年2月2日 23時
