Maybe. (ページ41)

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「お待たせ！ほな行こか」
「ふふ、康二きまってんね」

先に行っていてと車の鍵を渡されてドキドキしながら助手席で待っていると、カメラを首からぶら下げた康二が運転席側から顔を出した。

「今日は沢山写真撮ろー、思てちゃんとフィルム変えてきたから。阿部ちゃん沢山写ってな」
「はぁい、よろこんで」

行く途中にサービスエリアに寄り道をしたり、ブログにあげるためのツーショットをとった。お出かけも、記念撮影も別にいつもと変わらないのに、休日のお出かけに気持ちが高鳴った。

サービスエリアで買った食べ物を片手に窓の外を見ると、すぐそこにもう海が見えた。

「おー、海やん。もうすぐやね」
「高速降りたら海の近くまで行こ。駐車場がここにあるっぽい」
予め検索をかけておいた駐車場の位置を確認する。
俺は運転が上手くないし、あっちは免許持ってなかったから車で行かなかったんだよ。駐車場がある事も知らなかった。

「調べてくれたん？ありがとうな！」
「ううん、車出してくれてるし、家に泊めてもらっちゃったしね。これくらいお易い御用です」

俺がそう言うと楽しそうに笑ってみせた。
はにかんだ康二を見て少し恥ずかしくなってきて、照れ隠しに片手で持っていた食べ物の残り1口を口に放り込んだ。

ちょっとするとすぐに砂浜が見えて、夏らしく水着で泳ぐ人達、サーフィンをする人達、それに家族連れの人達も沢山いる。

「賑わっとんなぁ、俺らもはよ行こ！」
「うん！あっ、飲み物先に買っていこう、倒れたら大変」
「お、せやねぇ」

ちゃんと帽子も被って、荷物を持って康二の隣を歩いた。

「俺ら、割と黒い方やけどまた黒くなるんちゃう？」
「あぁー、それは俺も思った」
「ま、気にせんでもええか！冷たい飲みもん買うたらちょっと海入りましょ」
「良いね、久しぶりだなぁ、こうやって海来るの」

近くのコンビニで飲み物を買って、賑わう海の方へと足を進めた。

ダボッとしたTシャツを捲って着ている康二が裾で汗を拭った。
キラキラぴかぴか。
夏の強い日差しが俺らを照らして、キラキラして見えた。

「なんか、お日様がスポットライトみたい」
「んー？あは、何やそれ」
「や、そんな深い意味は無いんだけどね。康二がキラキラして見えたから」
「可愛いこと言わんといて。暑なってきた」

俺がそう言うと康二が照れた表情を隠すようにキャップを被り直した。

本当だもん。夏が似合うのっていいなぁ。