Maybe. (ページ38)

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久しぶりに今日は自分の家のベッドで就寝準備をしていた。

最近は専ら康二に甘えておうちにお邪魔していたし、そのまま一緒に寝ちゃうことが多かったから俺の家に帰ってくることが少なくなっていた。

ふと、康二の家に置いてあるソファを思い出した。
ふっかと買いに行ったんだっけ。良いなぁ。

嫌だ、違う違う、二人に特別な関係はないって。
ただ、やっぱり二人で出かけたっていうその事実が羨ましい。

書籍が並べられている本棚を通り過ぎて衣服を収納しているタンスの元に立膝をついた。

｢確かこの段...、ここ...｣

下から二段目の右端。畳まれた衣服に囲まれている薄紫の箱が目に入った。

｢あった..｣

服が乱れないようにそっと箱を持ち上げる。少し動かすと中からシャラシャラと音がした。
蓋を開けると俺の宝物がたくさん顔を出した。

シャラシャラと音を立てていたのは海に行った時に買った貝殻のキーホルダー。

ストラップ類が多いなぁ、UFOキャッチャーの景品かな。

海の家でご飯を食べている写真も入っている。ふっかの写真が数枚しかないのは、俺の倍のスピードで食べ終わるから俺がふっかを撮る前に二人して席を立っちゃったんだっけ。混んでたしな。

海で買ったネックレスも、隣に並べてあるのはふっかが当時つけていたリングピアスをネックレスにしてくれたものだった。

あ、これは水族館に行った時の写真。なんだ、ちゃんとデートしてるじゃん。二人ではにかむように笑っている少し色褪せた写真を見て吹き出す。若いなあ、俺達。

若かったんだ。本当。

若かった、楽しかった。幸せだった。そう思うのは嘘じゃない。嘘じゃないから捨てたくないし捨てられない。

でも、もう『戻りたい』とは思わなくなっていた。誰かと重なりたいという欲求も薄れてた。なんだ、こんなにもすぐに変われるものなんだと自分自身の変わりように心底驚いた。

今日だって、翔太に小突かれて笑うふっかを見て違和感を感じた。きっとそれは、その光景に何も思わなくなったことへの違和感なんだと思う。

きっとこういうことを心替わりって言うんだ。