Maybe. (ページ30)

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｢ヤキモチ妬いてんの見たくなった。ごめんね｣

｢....しらない｣

防壁の砂利が音を立てた。

汗ばむ肩が触れ合って吐く息の音が近まる。

相変わらずかもめが忙しなく鳴いていてあぁ、夏だなぁと思う。

｢可愛いねえ、ふふ。いちばん可愛いよ｣

｢そんなこと言われたって嬉しくねえわ｣

｢マジ？顔赤いけど｣

｢...暑いだけ、夏だし｣

苦し紛れにそう伝える。

変なことを言い出しそうな口元を手で覆った。

ジャリ、っと砂が音を立てて夏の暑さで少し色づいた唇が俺の頬に触れた。

｢何すんの...！そ、外！｣
｢ふはは、焦りすぎ！｣

格好いい腕時計をつけたその腕でお腹を抱えながら楽しそうに笑ってみせた。

本当イヤだ。好きすぎて。

口付けられた頬を抑えていると強い潮風が俺たちを吹いてあやうく壁から落ちそうになった。

｢いや危な！｣
｢風が強くなってきたね、そろそろ帰る？｣
｢そうだねぇ。続きしよっか｣
｢ふっかってエッチなことしか考えられないの？｣
｢うーん..あながち間違いじゃないかも。
待って、そんな顔しないで！？｣

気持ち悪ーいと、オーバーリアクションを取りながら先に防壁から飛び降りる。

ついてこないで、と言って手を振るとニヤリと笑ったふっかが全速力でダッシュしてきた。

｢怖い怖い！ふは、やだ！来ないで！｣

｢逃がさねえからな！待てお前！速いな！？｣

水着のお姉さんたちが楽しそうに泳ぐその横を、男ふたりが走る異様な光景を思い出す。
楽しかったな、海。