6頁目 怪物 ページ7
僕はとうとう更新しなくなった。
やったところでどうせ見て貰えないし、
昔のように沢山の通知が来る訳でもない。
なら書く意味もないと放棄する理由をこじつけた。
でも読むことはやっぱり好きで、
占いツクールにログインして小説は読み続けた。
ランキングを見てみると、
今日も沢山の小説が選ばれるのを待っている。
僕の検定は1位の座から引きずり降ろされたどころか
ランキングから姿を消したし、
小説は僕が見たという事実がカウントされ
無情に「1hit」とだけ表示されていた。
見ていると自尊心が傷付くので、
早々にマイページを去る。
サイトを開いたついでにランキングの作品を読む。
時には息を飲む程美しい文章に出会った。
しかし僕はいつからか、
承認欲求の怪物に生まれ変わっていて
どんなものを見ても必ず思った。
「僕の小説の方が面白いのに」と。
台本書きの小説を見れば
僕はこんなに工夫した表現なのにと悔しがり、
似たような内容の検定を見れば
僕の検定は唯一無二だと聞いてもいない事を高らかに叫ぶ。
どうして僕は注目されない？
どうして僕の方が格下なんだ？
僕が僕がと駄々を捏ね他作品を内心下卑した。
小心者なので、荒らしたり
アドバイスのコメントは決してしない。
心の中だけで叫んでは虚しい気持ちを抱く。
美しい言葉と表現を愛した人間の姿はそこになく、
ただ人を貶して賞賛を待つバケモノだけが
暗い部屋でサイトを読み漁っていた。
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彼岸 吹雪＠元秋雨吹雪(プロフ) - 心にグッと来ました。この小説を見つけれて良かったです。 (2020年7月7日 17時) (
レス) id: 34269c3564 (このIDを非表示/違反報告)
ふてんにぶおんぷ(プロフ) - なんとも言い難い感情になりました。共感というか、なんというか。正直どれだけ素晴らしい作品を書いても、運が悪ければ読者様の目に止まらない。運が悪ければ、悪質な低評価を受ける。一回食らった低評価を巻き戻すのは難しい。外的要因と分かってるが故、悩む気持ちも (2020年5月8日 13時) (レス) id: b357d30bf6 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - このお話は、どんな小説よりも今の私に必要で、心に響くお話でした。この作品に救われた人は、私も含め、たくさんいると思います。そして、その人たちは、この作品のこと、ずっと忘れないと思います。ありがとうございました。 (2020年4月26日 11時) (レス) id: 036f6ab369 (このIDを非表示/違反報告)
銀世界の姫騎士 レオ(プロフ) - 同じ書き手として、共感できることが多い小説でした。「価値のない小説なんてない」という言葉が、とても心に響きました。この小説を書いてくれてありがとうございました！ (2020年4月26日 0時) (レス) id: 86c31a4b24 (このIDを非表示/違反報告)
とある作者 - さそりの嫁はタコが好きさん» 私の方こそ、この小説を見つけてくれてありがとうございます。貴方の気持ちが本当に心から嬉しいです。 (2020年4月22日 23時) (レス) id: 10a8663c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある作者 | 作成日時：2020年4月19日 1時
