誰かが見てる

8月8日 ページ11

あの時頷いたことがすべてを狂わせた



車を運転する俺は深いため息をつく



ずぶ濡れだったあの子にただ傘を貸す
それだけだったはずなのに





メンバーを裏切って危険にさらして…
俺はどうしたらいい？



ラジオでは俺の横で眠っているこの子の事が誘拐された女子高生として流れている



信号待ちで停車するとすぐ横に警察署が見えた



この子を連れてこのまま自首してしまおうか



ふとそんな考えが俺の頭をよぎる



でもそんなこと実際にはできない俺が自首したらGENEのメンバーは LDHはどうなる



こんな時皆ならどうするんだろう


信号は青に変わり警察署が視界から消える



俺は隣に座る女の子を見る
この子は本当にいじめられていたのか？



そう思わせるほどに綺麗な顔立ちだった




突然女の子の目が開いた
俺は急いで目そらす



「お兄さん………」



鈴の音のような綺麗な声で女の子は俺に問いかける



「お兄さんは…私を一人にしないよね？」



何も答えない俺に女の子は更に聞いてきた



「お兄さん？」



パッチリとした目で見つめられるとその綺麗な瞳の中に吸い込まれそうになる



「分かってるよね？」



可愛らしく首をかしげて聞くその姿に



「…うん」



俺は頷くことしか出来なかった

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