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「それで猫の餌を？」
『うん、猫の集会所はなかったんだけど、その子猫たちの面倒を見てる子がいて
餌代とか小学生のお小遣いじゃさすがに限界あるから里親探しも含めて手伝おうって』
「へぇ、前から思ってたけどお前妹にかなり弱いよな」
『それ最近自覚してきたからやめて』
仕事帰りにペットショップの前ではるかとみちるに捕まり事の経緯を説明する事になった。
聖火が猫の集会所かと思って廃墟に入ったこと、そこで小さな猫達を面倒見ている女の子に
会った事、廃墟の取り壊しで子猫達の住処がなくなってしまう事、それを聞いたお人好しの妹が
自分も手伝うと言い出しそれに強制的に手伝わさせる羽目になった事、一通り話したら案の定はるかにからかわれた。
「その廃墟ってあの建設ビルの近くの？」
『うん、塀に穴が空いててそこから入れるんだ、それがどうしたの？』
「いや、なんとなく」
『？』
はるかはたまに変な事を聞いてくる、みちるはその意味がわかるみたいに横で聞いている事が多い。
まるで僕だけが異物みたいなこの時が、どうしようもなく
「燐火？」
「どうしたの？」
『わかんない』
・・・寂しい
いきなり泣き出した僕にどうしたのかとハンカチをあててくれる手も、心配げに見てくる目も大好きなのに
すぐ側にあるのに、どうしてこんなに一人ぼっちな気持ちになるんだろう・・・
頬を流れる水はしばらく止まりそうもなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「燐火のやつ急にどうしたんだ？何かあったのか？」
泣き止んだ燐火を家の近くまで送った僕達は車を走らせながら数少ない友人である燐火の話をしていた
「わからないわ・・・そういえば昔似た様なことがあったかも」
「その時は何が原因だったんだ？」
僕の問いにみちるは首を横に振った。
「その時も何が原因だったのかわからないの、ただ・・・」
「ただ？」
「あの子は、燐火は水の様な子だった、どこにでもいてどこにもいない様な・・・水面が陽の光を浴びる様に、どこまでも沈んでいく海底がある」
「僕たちの知らない何か、か・・・もどかしいな」
「えぇ、本当に」
僕よりも付き合いが長いみちるが言うのだからそうなのだろう、現に燐火を水と例えたことに僕自身が納得する程にみちるは燐火をよく知っている、だからこそきっと・・・
「大丈夫さ」
「・・・ありがとう」
強く握られていた手にそっと自分の手を重ねる。
そしていつもの様に微笑む彼女にわかりきった行き先を聞く。
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Vacancy(プロフ) - みりんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！ (2021年3月27日 3時) (
レス) id: e3f2568b7e (このIDを非表示/違反報告)
みりん - 最近更新されている小説がないので嬉しいです。続き楽しみにしてます！ (2021年3月25日 11時) (レス) id: d6194d3cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Vacancy | 作成日時：2021年3月25日 0時
