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「仕事ってモデルのですか？」
『うん、もっと早く終わる予定だったんだけど長引いちゃって』
「今日は何の撮影だったの？」
『ファッション誌、夏の先取りだって』
まだ肌寒い時期に夏の先取りとか意味わかんないと思っているとはるかのハンドルを握る手にスカーフが巻いてあることに気づく
『はるかそれどうしたの？』
「あぁ、ちょっと擦り傷」
『痛い？』
「なんでお前が泣きそうな顔してんだよ、痛くないよ、まこちゃんのおかげで」
「え、いや、そんな」
「燐火、はるかの心配はするだけ損よ」
「どう言う意味だよ」
確かにそうみたいだと頷くと視界の端でバラが光った。
『バラ好きなの？』
「へ？あ、はい、バラというか花が好きで」
「花が好きなんて素敵ね、女の子らしくて」
「…そんなんじゃないんです」
少し俯く木野ちゃんにどうしたんだろうと思っていると
「私、こんなだからちょっとでも女の子らしくって、それで…」
なんともいじらしい言葉が返ってくる。聖火もそうだけど本当に可愛い子ほど自分に自信がないのはどうしてなんだろう？「あ、ここで大丈夫です」そう言って降りた木野ちゃんに『そうだ』と閃いてポケットを漁り呼び止める。
『木野ちゃん』
「はい、えっ」
左手で顔を固定して、右手でリップを塗る、薄桃色のリップは木野ちゃんによくに映えた。『よし』と満足して車体のせいか思ったより近くなっていた顔を離すと茹で蛸みたいな木野ちゃんがいた。
『ローズバド、意味はバラのつぼみ、この色は君によく似合う』
「え、あ」
『あげる、僕まだ使ってないから安心してね』
「そんな悪いです」
『いいの…大丈夫、君は君が思うより、ずっと可愛いよ』
木野ちゃんの頭を撫でてシートに座り直し、じゃあねと言うと車が走りだす。
「天然タラシ」
『ん？』
「僕は知らないからな」
どういう意味かわからなくてみちるを見ると目があった途端そらされた。これは怒っている時のみちるだ。
「そら見ろ」
『えーなんで？！なんでなんで？僕何したの？！』
「そういうとこだよ」
『わかんないよー！ねぇなんで？！みちるぅ！』
「(知らない)」
「(勘弁してくれ)」
その日みちるに抱きついたまま大泣きし車から降りない僕とそれを見る聖火の哀れむような目に挟まれたはるかはそれはそれは居心地が悪かったそうだ。・・・ごめん。
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Vacancy(プロフ) - みりんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！ (2021年3月27日 3時) (
レス) id: e3f2568b7e (このIDを非表示/違反報告)
みりん - 最近更新されている小説がないので嬉しいです。続き楽しみにしてます！ (2021年3月25日 11時) (レス) id: d6194d3cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Vacancy | 作成日時：2021年3月25日 0時
