18.bye! ページ19
〔10月11日〕
…ついに、この日が来た。
ずっと、ずっとずっとこの日を待ちわびていた。
この日のために、…私は…
胸が詰まってしまう。…泣きたい。
私は目をかたく閉じて、ぎゅっと手を握り締めて、
笑う。
そして、ゆっくりと瞼を開けて、カバンを持つ。
大丈夫。
大丈夫よ、宮野志保。
きっと。すべて、上手く行く…。
ドアの手前で足を止める。
そして、顔を上げないまま、つぶやいた。
「ごめんなさいね、工藤君。…さよなら」
屋上へのドアを開けると、彼はもうすでにそこにいた。
朝の都会の雑音が私達の間を通り抜ける。
「…はやいのね」
「…少しでも時間がズレたら、全部オシマイ、だからな。」
「…そうね、絶対に失敗したくないわね。何が、あったとしても…」
「………」
昨日と同じ、暗い影を帯びている彼の目が、私を不意に真っ直ぐに見つめた。
一瞬、胸が詰まる。
「……いいのか?」
「……何、が」
今更なんていう事を言うの?
「…止めたいの?私を…」
「……いや」
「もうここまで来たの、引き下がる事なんて出来やしないわ。」
頭の中で、記憶がフラッシュバックする。
何回も泣いた夜。たった一人でずっとずっと。つらかった。
どれだけ今まで泣いた?
どれだけ今まで苦しんだ?
じわりと滲んで、でそうになる涙。
…だめ。
必死にこらえる。
「…そう、か…」
彼はまた顔を背けた。
…やめて。そんな事、しないで。
今更…もう遅いの。
私が貴方に計画を話した時になら、私。まだ…止める気になったかもしれないけどね。
私はね。もう、こうするしかないの。
こうしないと…生きていけないの…!
…だめ、だって。がまん、しなくちゃ…
滲んでゆく視界。私は、必死に瞬きを繰り返す。
「…時間だな」
「ええ、そうね…じゃあ、…よろしくね」
私は彼に近付く。
彼は座りながら、私を見た。
私は苦笑いをする。
…ごめんなさいね。と、心の中で呟きながら。
バイバイー工藤君。
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 映画館で流れて耐えられる自信がない。なんという力、、、 (2020年4月8日 13時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - よんてんはちぃ!!! (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - 神様、仏様、も?えっ???いや好きなんだが (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - 誰か教えて。。。 (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - pvみた。確かにコナンと赤井さんの曲だけど、あれって鶏と蛇と豚の映像はいってるよね?え?なんで? (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:仍並 蒼(よなみ あお) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yonamiao/
作成日時:2018年2月12日 13時