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17.さあ、裏切りの時 ページ18

私は、裏切った。

工藤君を。

その計画は、ずっと前から仕掛けられていた。

私はそれを実行した。

ただそれだけ。

誰もいない部屋に言葉を放り投げる。

「ごめんなさいね、工藤君。…さよなら」





〔10月10日〕
「ただいま」
「おかえり、哀君」
私は家に帰る。
そして、地下の研究室に直行。
後ろから博士の「哀君、ほどほどになー」という声が聞こえたけど、無視して行く。
…ごめんなさいね博士。今日は研究するんじゃないのよ。もっと、もっと…大事な事。
心の中でそう謝る。
ガチャ、ギギィ…バタン
部屋に入ると、ホコリ臭い空気の匂いが鼻をかすめる。
一応、私。綺麗にしてるつもりなのにね…
とりあえず今日はスルーして、パソコンの前に座る。
時計を見てみる。
15:19
確か、約束は15:30…あと少し。
私はパソコンを起動する。そして、カタカタと文字を打つ。
今まで見た…通信した資料を全て消している。
これのために、新たなアプリも作った。そのアプリは、後から見つかったとしても、パスワードが無い限り開けない。これで、後からは絶対に追求出来やしない…。
フ、と笑みがこぼれ落ちる。
私。何してるのかしら…。
もう一度時計を見る。
15:28
「もうすぐ。もうすぐね…」と私は立ち上がる。
そして、窓のある二階の私の部屋へと、向かっていった。

ドアを開けると、案の定、そこには彼がいた。
真っ黒い格好。いつもの衣装とは正反対…。
「こんにちは、お嬢様…」
「ごめんなさいね。少し遅れてしまって。」
彼は私に歩み寄る。
「いえ、ほんの少し…大丈夫ですとも。」
…イラ。
「そのキザな言い方やめてくれない?」
「えー嫌?わーったよ…。」
一変して口の悪くなる彼。こっちのほうがマシね、と割り切る。
「それで?今日は、確認って言われたんだけど?」
ついに、明日。計画が、始まるのに…
「あー…確認っていうか…忠告、って感じなんだけど…」
「…ち、忠告…?」
彼は声のトーンを落として、まっすぐに私を見つめて言った。
「…もし、計画が…完璧に成功したとしても…きっとアイツは、俺らを追ってくる。多分、逃げられない。だから…」
彼と同じ蒼い目が、影を帯びて綺麗に輝いている。吸い込まれそうになる蒼…。
「だから?」
「…………いや、何でもない。」と彼は口をつぐんだ。
「何よ、」と彼を睨んでみる私。
「…後で話すよ…じゃ、また明日…」と彼は窓から出て行った。
…彼の、悲しそうな目が、一瞬こちらを見た気がした。

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あお - 映画館で流れて耐えられる自信がない。なんという力、、、 (2020年4月8日 13時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - よんてんはちぃ!!! (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - 神様、仏様、も?えっ???いや好きなんだが (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - 誰か教えて。。。 (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)
あお - pvみた。確かにコナンと赤井さんの曲だけど、あれって鶏と蛇と豚の映像はいってるよね?え?なんで? (2020年4月3日 9時) (レス) id: c121f0415a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:仍並 蒼(よなみ あお) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yonamiao/  
作成日時:2018年2月12日 13時

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