4話『トリップですね』 ページ5
『……今、なんて…』
「…赤犬の拳が俺を貫いた。世界でたった一人の、大事な弟の腕の中で俺の命は…散ったはずだ。
だがこうして生きていて、何故か致命傷だった体の大穴も消えている。
……俺は、夢でも見てんのか？いや夢に違いねェ」
彼はふるふると首を横に振る。
ま、まさかそのタイミングでトリップを…大事だぞこれは…
『…エースさん、大事な話があります。』
この言葉に彼は視線だけをこちらに向けた
『ショックを受けるかもしれませんが、今後に関わることです。聞いてくれますか。』
「…何か知ってんのか。」
彼は帽子を深く被り、腕を組む
…ここで真実を言わなければ。
この世界にいればいずれ現実を見ることになる、変に嘘をついて傷付けたくない。
だって彼は、元の世界ではもう…
すると彼が口を開いた。
「…準備はできた。教えてくれ。」
…
『前代未聞の現象で、私も驚いているのですが…。
エースさんがここに来たのは"トリップ"が原因だと思います。』
「旅行か？」
『とある場では、"世界と世界の行き来"を指す言葉としても使われているんです。』
彼は怪訝そうに私を見たが、構わず続ける。
『ここは、異世界です。』
「………冗談、だよな」
そんな簡単にすぐ信じられるはずがない…私は首を横に振った。
「じゃあ何でお前、俺の事知ってんだよ…」
『…信じ難いと思いますが、この世界で貴方は、"ONEPIECE"という本の中の人物なんです。』
「は…っ？」
彼は頭を抱えた
「……その本、持ってるか。」
ソファから立ち上がり、部屋からワンピースの単行本を一冊持ってきて、彼に見せた。
アラバスタでのルフィとエースの再会が描かれた18巻だ。
エースは、自分が表紙の本を前に驚いている様子。私は彼が登場しているページを広げた。
『これはアラバスタ編の、弟さんとの再会が描かれた本です。現在90巻を越えた数が世に出ていて、これは18巻目です。』
彼はパラパラと確認するように漫画を読み始める
…そして深い溜息をついて、天を仰ぐ
「二つ聞かせろ。俺は戦争で…死んだのか？オヤジも、どうなった…？」
それにどう答えていいかわからず、戸惑っていると「もういい」と手で制された。
彼は自分を落ち着かせるように、テーブルの上に置かれた飴を口に含んで噛み砕く
「少し、一人にさせてくれ…」
『…何かあれば、あちらにいますので。』
私はリビングを後にした。
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惑星ワタシ@おみ(プロフ) - 埃粘土さん» やったー！楽しみにしています！ (2023年3月12日 12時) (
レス) id: 26c992cad1 (このIDを非表示/違反報告)
埃粘土(プロフ) - 皆様お久しぶりです。現在ワンビース再履修中、今年中には更新できそうです。遅れてしまって大変申し訳ありません、もしまだ楽しみにしてくださっている方がいたらよろしくお願いします…！ (2023年1月30日 10時) (レス) id: f376563af4 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 面白いし可愛いしずっと笑ってました笑更新待ってます！！ (2020年10月24日 21時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
惑星ワタシ(プロフ) - 楽しいわ かわいいわ 尊いわで読んでる間 頬緩みまくりですw この小説に出会えて良かったです…！！更新いつまでも待ってます！ (2020年7月17日 20時) (レス) id: a8b54cfafa (このIDを非表示/違反報告)
sirasumi711(プロフ) - めっちゃおもしろいです！ (2020年7月7日 10時) (レス) id: 4a699c5b27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：埃粘土 | 作成日時：2020年1月1日 20時
